カイコの学校、開校(カイコう)まもなく1周年
去年のある夏の日のことです。
「そうだ、こども牧場でカイコの展示をしよう!」
もちろんただの思いつきではありません。なぜこども牧場でカイコなのかというと、理由は2つあります。
1つ目はカイコ(家蚕)が家畜であるということ。こども牧場はウサギやヤギなどの家畜・ペット種を飼育しています。カイコ(家蚕)は移動能力が低く、幼虫はほとんど移動せず、成虫は羽があるのに飛べません。人の手がないと生きていけない動物、いわば究極の家畜なのです。
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2つ目は学びの機会が平等にあるといいな、と思ったこと。本州などの一部の学校では授業でカイコの飼育をすることがあるそうですが、旭川の学校に通っていた私は存在もあまり知りませんでした。野生にいないので、機会がないとなかなか見ることができないカイコを、多くの人に見ていただきたいと思いました。
こうして始まったカイコ飼育計画。入手方法や飼育方法を調べ、去年の12月になんとか飼育展示を開始することが出来ました。
飼育する中でも困ったことがいくつかありました。特に困ったのは温湿度の管理です。カイコは温湿度の管理がとても重要で、温度は25度以上、湿度が70%ほど必要です。しかも風通しは良くなければいけません。しかし、冬のこども牧場は20度ほどしかありませんでした。そこで、網とアクリル板で作った専用の飼育ケースを準備し、ヒーターや加湿器で温湿度をなんとか保てるようにしました。
そしてまもなく、飼育開始から1年が経ちます。現在3代目のカイコが繭を作っているところです。展示を始めてみて、たくさんのことを学びました。例えば、カイコの繭は1本の糸で出来ていること。交尾後、人の手でオスとメスを離さなければいけないこと。思った以上にカイコが繊細な動物であること。学んだことを上げ始めたらきりがありません。
1番の収穫は思っていたよりも多くの方がカイコに興味を持ってくださったということです。
明治時代、日本は諸外国と対等になるために製糸業に力を入れ、たくさんのカイコが飼育されていました。そんな日本の発展に一役買っていたカイコについて、これからも多くの方に興味を持ってもらえるよう、飼育展示に取り組みたいと考えています。
まだまだ私自身分からないことも多くあるので、皆さんと一緒に勉強していきたいです。もし詳しい方がいらっしゃいましたら是非教えて下さい!
こども牧場での展示の様子
枝蔟に作った繭
こども牧場担当:泉こはる