年末のご挨拶

最終更新日 2021年12月31日

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年末のご挨拶

 今年も終わります。皆さんにとって今年はどんな年だったでしょうか?旭山動物園は動物のことに関しては充実した年でしたが、運営という点では昨年以上に厳しい年となりました。ただSNSでの発信には工夫を凝らしてきました。来園していただけない状況の中でも、飼育動物たちと皆さんの心を繋ぐ架け橋としての役割を果たせるまでになってきたかなとの手応えを感じる年にできました。環境問題や生物多様性の保全に向けた実際の取り組みという点では不完全燃焼でした。
  年の暮れ12月はホッキョクグマの誕生とチンパンジーのキーボの死という出来事がありました。旭山でのホッキョクグマの出産は21年ぶり(出産後育児をせず子は死亡)、このまま順調に成長し繁殖成功となると実に40年ぶりということになります。ちなみに繁殖成功と表現するのは生後半年以上生存してからとしています。今回の子、実は旭山動物園開園当初から飼育していた初代ホッキョクグマのシロウとユキから数えて5世代目の玄孫(やしゃご)になります。命が繋がってきたことに感無量でした。
 そしてキーボの死。53歳の波瀾万丈の一生でした。旭山に来園したのが昭和50年で6歳の時でした。当時動物園はチンパンジーを園内に連れ出して芸をさせることが一般的な時代でした。時代の変化と共に芸の時代は終わり、動物本来の行動や営みを見てもらう場に変わってきました。キーボは激動の動物園の変革の中で暮らしてきました。旭山動物園最後の生き証人のような存在でした。キーボの死は旭山動物園の歴史の大きな一区切りのように感じます。キーボは隣室で群れの仲間に看取られながら最後を迎えました。その前日の晩、寝たきりでほぼ反応がなくなっていたのですが、自分が声をかけるとよろよろと起き上がり、じっと見つめてきました。しばらくして「おまえか!」と気づきふらつきながらも手の甲をこちらに向けて腕を伸ばし威厳を示しながら挨拶をしてきました。就職して初めて間近で見たキーボは芸をするかわいらしい動物ではなく計り知れない力を秘めた猛獣でした。キーボをとおして飼育することの意義を常に考えさせられ教えられ学びました。
 速さはないけど確実に一歩ずつ踏みしめて歩む牛(丑)、我が道を単独で駆け抜ける虎(寅)。今年が終わり新しい年を迎えたいと思います。

キーボ

キーボ 死の前日

行く年くる年
 行く年来る年(わかるかなー?)

園長:坂東元