シンリンオオカミ ヌプリとアオイの近況
3月に入り旭川も少しずつ暖かくなってきました。
もう少しするとこの辺りのエゾタヌキやエゾリスなどの動物たちは春の繁殖期を迎えますが、一足先に動物園のシンリンオオカミにその季節がやってきました。
現在旭山動物園ではオオカミの森にいる5頭のシンリンオオカミの他に、非公開施設でヌプリとアオイというペアを飼育しています。
(ヌプリとアオイのペア形成経緯についてはゲンちゃん日記・平成30年8月「オオカミのペア誕生なるか?」をご覧下さい)↓↓
www.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/news-blog/genchannikki/d064717.html(新しいウインドウが開きます)
このペアは2018年の同居後から仲良く過ごしてきたのですが、昨年はアオイに発情出血(発情のサインみたいなもの)が見られたものの、交尾には至りませんでした。
アオイは現在11歳です。出産歴がないアオイにとっては繁殖限界の時間がせまってきています。
なんとか今年は!と意気込みますが、結局はヌプリとアオイに任せるしかありません。
私がやってあげられることはあまりないので、2頭の行動を記録して繁殖期前後の行動分析をしながら待つことにしました。
今シーズンの発情出血は12月下旬に始まりました。
しかしそれからしばらく経っても交尾行動を確認することができませんでした。たまにアオイがヌプリに遊びを仕掛けますがいつも素っ気ない態度をとられてしまいます。
ところが2月4日の夕方、いつものようにアオイがヌプリにすり寄ると、ヌプリが少し尾を振って反応ました。
『これはもしかしたら!?』と思い観察を続けているとヌプリが後ろからそっとアオイに乗っかろうとしました。『ついに!!』と思った瞬間、アオイが180度くるっと向きを変え、尻尾を高く上げてブンブン振っていました。
私的にはガックリでしたが、きっとアオイにとっては『ノリの悪い同居狼がついに遊びにのってくれた!』と思ったのでしょう。こどものように飛び跳ねて喜んでいました。
翌日いつものように録画した映像をチェックすると、ヌプリのマウンティング失敗から5時間後くらいにちゃんと交尾していました。初交尾、リアルタイムで見たかったな・・・
アオイは最初びっくりしていましたがすぐにヌプリを受け入れた様子でした。
その後も2月19日までの間に9日交尾を確認することができました。
アオイは高齢なのでまずは妊娠するかどうかですが、順調にいけば4月下旬くらいに出産予定日を迎えます。
その日に備えてしっかり準備をして引き続き様子を見守りたいと思います。
妊娠するといいね!
(オランウータン舎・オオカミの森担当:佐橋 智弘)