アオイのこと
シンリンオオカミのアオイが旭山に来て約1ヶ月経ちました。
今回の移動に関して、「なぜ?」「旭山?」と思われた方もいるでしょう。
アオイは10歳。もう高齢の域に入ります。
アオイ同居前
現在、国内のシンリンオオカミは大きく分けると2つの系統(血統)があります。
というか2つしかないのです。
そんな中、アオイは国内の他の個体とは血縁がありません。
オオカミはペア・群れの絆が強く、一度群れができるとペアの組み替えを行うことは難しい動物です。
血統だけを見てペア形成を考えるならば、新しい血統を作ることは可能ですが、現実的ではないのです。
旭山で飼育しているヌプリ(オス)は2016年に群れから分けて以降、搬出先を探していましたが、なかなか声がかかりませんでした。
(群れから分けたのは年齢的・身体的にも成熟したヌプリと父親とのトラブルを未然に防ぐためです)
その後、一緒に群れから分けた妹たちがいなくなり、1頭になってしまいました。
今後どう飼育していくか考える中で、東山動植物園のオオカミ担当の方とお話しする機会があり、アオイが長く1頭で暮らしていること、現時点でペアを組む予定はないことを伺いました。
群れで長く暮らし、いろいろな経験もあり、性格が穏やかなヌプリなら、アオイと一緒に暮らせるのではないかと考 え、両園で協議し、今回の移動を実現することになりました。
年齢的にも繁殖のチャンスは1~2回かと考えています。
繁殖できなかったとしても、それぞれ1頭で暮らすよりも、2頭で暮らせるほうがかれらにとって良いことなのではと思っています。
(もちろん、相性が悪くなければ、ですが)
現在は短時間の同居から始め、徐々に時間を長くしています。
開始時からお互いをしつこく気にすることもなく、むしろ1頭ずつでいるときよりもそれぞれが落ち着いて過ごしているようにも見えます。
終日同居を目指し、経過観察を続けていきます。
非公開施設での飼育のため、皆さんにはご覧いただけませんが、時々ブログで状況をお伝えできればと思っています。
くつろぐアオイと横を通り過ぎるヌプリ
オオカミの森・北海道産動物舎担当:佐藤和加子