【エゾシカの森 近況】

最終更新日 2018年3月17日

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【エゾシカの森 近況】


きびしい冬ももうすぐ終わります。空気の匂いが春っぽくなってきましたね。動物たちは人間よりも敏感に春の気配を感じていそうです。

 さて、私の担当しているエゾシカの森の近況についてです。

中野1

 現在旭山動物園にはエゾシカが9頭いるのですが、エゾシカの森には6頭が居り、残り3頭は別スペースに分けて飼育しています。(オオカミの森の通路やもうじゅう館のユキヒョウ付近から見えます)
 夏期は主に9頭一緒に飼育していましたが、雄同士の闘争防止や繁殖制限のために群れから分けている状態です。それぞれの個体の状態を見て、群れに戻すかどうか、これから判断していきます。

 最近暖かい日が続いたからか、数頭の個体で毛換わりが始まっています。まだ冬毛が多く残っていますが、これからどんどん毛が抜けて生え換わっていきます。毎年のことですが、夏毛がある程度生えそろうまで、毛並みがボサボサになり見た目が残念な感じになります。ですがそれもまたエゾシカの春の姿で、春らしさです。
 春のエゾシカと言えばもう一つ。角の生え換わりです。
 エゾシカの角は雄にだけ生え、毎年春に根元から抜け落ち、新しい角が伸びてくるという形で生えかわります。今は立派に生えている角もあと1ヶ月ほどで順次落ちていくでしょう。ちなみに私はまだ角が落ちる瞬間を目撃したことがありません。作業中に後ろからボトッという音が聞こえて振り返ったら落ちていた、ということはあったのですが・・・あれは惜しかった。
 それと今シーズンは珍しいことが起きました。エゾシカの森で1番大きな体格の雄でマカロニという愛称の個体なのですが・・・

中野2

     向かって左の角に注目

 1ヶ月ほど前に根元付近で角が折れてしまいました。折れた角は今シーズン元々変な生え方をしていて、もろい部分があったのだと思われます。それにしても完成済みの角が折れるというのはなかなか珍しいパターンです。
 バランスが悪そうですが、動物自身は片角であることにすっかり慣れて平気そうにしています。

 冬のエゾシカの雄々しい姿を見られるのもあと少しです。旭山動物園にお越しの際はぜひエゾシカの森へ立ち寄ってじっくり観察してみてください。

(エゾシカの森、くもざる・かぴばら館担当:中野奈央也)