【108日目】

最終更新日 2016年4月28日

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【108日目】

昨年のアムールトラの出産は、自然哺育もさせられず、人工哺育も失敗、という惨めな結果に終わりました。
しかし、ザリアは少なくとも「交尾→妊娠→出産」までは可能な個体である、という証明にはなりました。

ザリア寝室
(徐々にあさひやまの環境に慣れてきたザリア。)

 今回の繁殖では「ザリアにしっかり育児をしてもらうこと」を目標に準備しました。
トラの人工哺育個体は、うまく繁殖できない個体になってしまうケースが多くあります。
キリル&ザリアの貴重な血統を未来まで繋いでいくためには「自然哺育」であることが重要だったのです。

産室を拡大し、ザリアがより落ち着ける環境を作りました。
昨年は8月に産室が完成し、9月出産。ザリアを産室に慣らす期間は一か月だけでした。
今回は産室改造が終わった12月からキリルとザリアを同居・交尾させ、妊娠期間の約100日間、産室にじっくり慣れさせたのち、春に出産、となるように計算しました。

産室の様子
(産室改造中。)

 とはいえ、「ザリアが今度こそ育児してくれるかどうか?」は、出産してみなければわからないことでした。
万が一に備え、前回の人工哺育で使った道具は用意しておきました。

そして迎えた4月8日、最終交尾日から108日目。
朝8:30にもうじゅう館へ行き、モニターを覗いてみると・・・なんと!ザリアが1頭の子を出産し、なめているではありませんか!
「よし!ちゃんと育児しているぞ!」ザリアは育児ができるトラでした。前回の育児放棄も、やはり環境に慣れていないだけだったのです。
VTRを巻き戻してみると、一頭目が生まれたのはぼくが着く4分前、8:26でした。「しまった!通勤途中でスタンドに寄らなければ、リアルタイムで出産を見れたかも」などと思いながら。

ザリア出産の動画はコチラ(アムールトラ・ザリア出産の瞬間)

 その後9:38に2頭目、11:25に3頭目を出産。3頭目は残念ながら死産でしたが、2頭の子はザリアに体をなめてもらい、元気に動き出しました。

出産直後
(2頭の子を出産した直後)

そして15:00には2頭とも、ザリアの乳首にたどり着きました。
まだ目も開いていない、這いずることしかできない子ですが、自力で母親の乳首にたどり着き、吸い付くのです。野生の逞しさを感じます。

その後、2頭の子は母の愛を受けてぐんぐん成長し、4月28日で21日齢となりました。
まだ安心はできませんが、人工哺育の時とは比べ物にならないほど順調に生育し、まるまると太っています。

4月26日の子の様子はコチラ(アムールトラ生後19日齢)

放飼場でみなさんにお披露目するのはもう少し先になりそうですが、今から楽しみです。
それまでの間、またHPで成長の様子をご報告したいと思っています。

このまま生育してくれれば、「昨年の失敗を失敗で終わらせず、今年の成功に繋ることができた」ということになります。

2頭のチビたち、元気に育てよ!

去年生かしてあげられなかった、3頭のぶんまで!

もうじゅう館担当:大西敏文