ゲンちゃん日記・令和5年8月「二十数年ぶりにヒグマを保護」

最終更新日 2023年8月10日

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ゲンちゃん日記・令和5年8月「二十数年ぶりにヒグマを保護」

子グマ

受け入れた子グマは

元気に成長しています

 先月、旭山でのヒグマ出没のことを書きましたが、今度はヒグマの子が保護されてきました。動物園としては、北海道産の野生動物の傷病個体の受け入れです。

ヒグマでは、とんこ以来二十数年ぶりです。どの種でも、受入れの可否は受け入れられる収容スペースがあること、さらに授乳期の哺乳類を保護した場合は、成長してから自然に帰すということはほぼ不可能なので、終生飼育が可能かどうかも慎重に判断します。
 えぞひぐま館は寝室が2か所、産室付きの寝室1か所の計3部屋があります。放飼場は、繁殖した際に子グマが産室から出てきて屋外に馴れるまでの小さな半屋外放飼場と、室内と屋外の放飼場を備えています。今回は動物園として受入れが可能なので、行政機関へ改めてどのように扱うのか慎重に判断してくださいと伝え、その結果、動物園で子グマを受け入れることになりました。
ヒグマは加速度的にヒトとの軋轢が問題となっており、駆除に関する考え方も様々あると思います。現在、行政としての駆除対象のヒグマは、ヒトの生命の安全を脅かす場合と農業被害をもたらす場合で、あくまでも個体ごとに判断する方針です。「問題グマと、そうでないクマを区別する」と言えばわかりやすいでしょうか。
今回は公園に子グマが出没したため公園の一部を封鎖したころ、親グマが姿を現すことなく、毎日この子グマだけが現れ、日ごとに衰弱して保護されたとのことでした。何らかの原因で親とはぐれてしまった子グマと判断。駆除対象ではありませんが、短期間で体力をつけさせて山に放すことは、市民感情も含め現実的ではなく、行き場のない状態となってしまったことが受け入れの経過です。

子グマは、まさに北海道の自然を象徴する大地の子そのものです。私たちは、ヒグマとどのように折り合いをつけていくのでしょうか?

 

                                  令和5年8月10

                                  旭山動物園 園長 坂東 元