ゲンちゃん日記・令和5年6月「野生と飼育下の動物たちの違い」
今年の雪解けは早かったのですが4月下旬から気温の低い日が続き旭山の桜もゴールデンウィークに合わせるかのように満開になりました。旭山動物園では夏期開園が始まり多くの来園者でにぎわいました。昨年までのコロナ禍でも、行動制限の規制が緩和された時期には大勢の方が来園された日もあったのですが、静かに少し急ぎ足で園内を回られる方がとても多い印象でした。今年のゴールデンウィークはゆっくりとした足取りで、おしゃべりしながら楽しまれる方がたくさんいた印象でした。今ではマスクをしていない方がいても、違和感がなくなりました。
そういえば5月中旬に野生のエゾシカを見かけたのですが、まだ角がありました。動物園のエゾシカは4月中旬頃には角が落ちます。屋外で飼育しているので、気温や日照時間は同じ条件なのですが、角が落ちる時期が一ヶ月くらいずれていることになります。そこで、まず一番に思いつくのが栄養状態の違いです。飼育下では食べ物に関して「厳しい冬期間」はありません。冬期間でも必要十分な栄養を得られます。飼育下では「次の繁殖期に向けて、より早く体の準備を始められる」ということになるのかなと思います。ただ、特に日本産の動物は季節によって栄養状態が変わらないと「春の発情が来なくなって繁殖しなくなる、できなくなる」生き物も多くいるので、飼育下ではあっても春夏秋冬のリズムを栄養価で反映しなければいけない場合もあります。
今年は、外部の方々と協働で行うイベントや企画を多く計画しています。多くの方に関心を持っていただけるように発信していきますので、注目していてくださいね!
令和5年6月8日
旭山動物園 園長 坂東 元