ゲンちゃん日記・令和4年11月「改修工事を最優先で進めています」

最終更新日 2022年11月15日

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ゲンちゃん日記・令和4年11月「改修工事を最優先で進めています」

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天井のヒーターに向かって暖を取る

ワオキツネザル

一気に秋が訪れ足早に冬を迎えようとしています。本来寒冷地に生息する動物たちも断熱仕様に衣替えです。エゾシカの鹿の子模様が消えると冬が間近に迫っていることを実感します。夏期開園も気づけばあっという間に終わろうとしています。予想もしなかったコロナ禍での2年間、開園できないこと、行事ができないこと、うれしいことを大きな声で伝えられないこと、ブレーキを踏みながらの綱渡りが続きました。動物園の存在って何だろう?そんな不安もいだいてしまう中で過ごしてきました。動物園の動物たちには当たり前の日常の営みが続いていること、まずはそこを伝えていこうと試行錯誤をしてきました。今年度に入り、少しづつ私たちも日常を取り戻し多くの方が動物園にも足を運んでいただける状況になりました。もぐもぐタイムを始め中止していた行事の再開や新規の行事にも取り組めました。えぞひぐま館のオープンを象徴に身近な野生動物との関係を知り考えるきっかけになるフォーラムの開催、北海道内で保全活動などを行っている団体のオリジナルグッズの販売を行うアニマルハッピーマーケットの開催、ボルネオでのボルネオゾウのレスキューセンターの2期工事に向けての活動の再開準備なども進めることができました。
冬期間は多くの中規模の改修やリフォームを行います。ホッキョクグマ館では空調設備の全面改修、子供牧場のゲート改修、そしてチンパンジーとボルネオオランウータンの通称サンルーム増設です。春や秋の肌寒い季節のための遠赤外線ヒーター付きの小部屋を屋外放飼場に作ります。冬期間は屋外放飼の機会が減るので、この時期での工事となります。すでにサル舎、テナガザル舎には増設済みです。ガラス越しにはなりますが人も動物もお互いに間近で観察ができます。サル舎ではワオキツネザルが天井に設置されているヒーターを見上げるように足を投げ出して座り両手を広げ暖をとる姿がよく見られます。ワオキツネザルは夏期でも朝や夕方太陽に向かって同じ姿勢をとり日光浴をします。体温調整機能が発達していない、代謝が低いための特徴的な行動です。
さらにキリンの結の事故死に伴い検証と反省をし、多数箇所の改修工事を最優先で進めています。制作などに時間を要するものもあるのですが順次改修は行い一日でも早く終えるように取り組んでいます。
冬期に向けてコロナ対策は継続していかなければならない状況は続きますが、これからの季節、動物園としても気になるのが高病原性鳥インフルエンザです。緊張感を持ち皆様を迎え入れられるように取り組んでいきたいと思います。

 
 

                                    令和4年11月15

                                    旭山動物園 園長 坂東 元