ゲンちゃん日記・令和3年8月「ヒトの生活圏を避けないヒグマ」
(旭山動物園では、安心してヒグマを観察できます)
連日の暑さで、園内の芝生も枯れ始めた今日この頃です。この暑さはいつまで続くのでしょう?キリンなどに与えている青草も、2番刈りの牧草が全く育たず、夏なのに青草を与えることができません。とにかく雨が待ち遠しい日々が続いています。
それにしても、この暑さと湿度と紫外線の中でも感染力が衰えないように思える、新型コロナウイルスには驚かされます。この先どうなるのか…。
さらに、ヒグマの出没!旭川は川のまち。川の上流は森につながっています。近年、ヒグマがヒトやヒトの生活圏を避けない傾向が顕著になってきていますが、まちなかの河川敷にまで居着く個体が現れるとは驚きです。そして時間の経過とともに、ヒトが作った舗装路やまちの明かりにも少しづつ慣れてきます。もしも、民家の家庭菜園が荒らされたらと、びくびくしています。
とにかく河川敷から出ると、そこは市街地です。人命への危険回避を最優先に様々な対策を講じていますが、ヒグマの行動を予想することは難しく、対応は困難を極めているようです。ヒグマを刺激する行動は危険を伴うため、追い払うこともできません。このまま山に帰ってくれたらと思われるかもしれませんが、ヒグマにとっては快適に過ごせた場所として記憶されてしまいます。
来年春オープンを目指し工事が続いているえぞひぐま館(仮称)では、ヒグマとの共存を探ることもテーマの一つに据えています。
話は変わりますが、ペンギンの繁殖、アビシニアコロブス・エゾユキウサギの出産など、動物たちの営みは順調です。せめて穏やかな気候になればと祈りつつ筆を置きます。
令和3年8月15日
旭山動物園 園長 坂東 元