ゲンちゃん日記・令和3年5月「ワオキツネザルの尾の不思議」

最終更新日 2021年5月17日

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ゲンちゃん日記・令和3年5月「ワオキツネザルの尾の不思議」

ワオキツネザル

(母親の体に、ぴったりとくっつく尾)

 雪解けが進む4月上旬、5月に届くこの手紙を書いています。桜の開花予想は4月下旬。思い出いっぱいのゴールデンウイークを過ごせたでしょうか?希望的観測ができる状況ではなく、何を書けばいいのか正直戸惑うばかりです。昨年は、新型コロナウイルスの影響でゴールデンウイークの夏期開園を迎えることができず、5月いっぱいの閉園でした…。
 さて、動物たちのことなら書けます。昨年に続き、3月にワオキツネザルが出産しました。昨年は双子でしたが今年は1頭だったので子育てもお手の物という様子です。昨年秋から放飼場の檻を大規模修繕していたため、サルたちは寝室暮らしが長かったのですが、修繕が終わり屋外に出られるようになると、春のぽかぽか日和で気持ちよさそうにしています。まだ母親の体から離れませんが、抱っこ・おんぶと動き回っています。
 ワオキツネザルは、その名のとおり白黒のしま模様の尾が特徴です。地面を歩くときは、仲間同士の目印になるように尾を垂直に立てます。樹上では体のバランスを取るため、上下左右に尾を動かします。母親にくっついているときの子の尾は母親に密着しており、ふと見ると、しましま模様のヘビが巻き付いているようです。抱っこで移動しているときでも尾が地面に垂れ下がることはありません。木の幹から幹に横っ飛びし、素早く活発に動くので、子の尾がぶらりと垂れ下がっていると、どこかに引っ掛かり思わず転落なんてことになりかねません。だから、尾を母親に密着させているのだろうと分析しています。それにしても、体長と同じくらい長い尾を母親にずっとくっつけていて、肩凝りならぬ尾が凝らないのかな?と思います。この手紙が届く頃には、母親から離れて遊び始めているでしょう。
 母親目線で子の成長を見守っていると、私たちの子育てにもつながる発見がたくさんあります。ぜひ見に来てくださいね。

(注)5月17日(月)~5月31日(月)まで緊急事態宣言の対象地域に北海道が追加されたことに伴い、更なる感染拡大を防止し、来園者の健康を守るため、臨時休園となっております。

令和3年5月17日 

旭山動物園 園長 坂東 元