ゲンちゃん日記・令和3年4月「初めての昼夜逆転施設が誕生」

最終更新日 2021年4月12日

ページID 073006

印刷

ゲンちゃん日記・令和3年4月「初めての昼夜逆転施設が誕生」

エゾモモンガ

(空中を舞う姿が見られるかも)

 新年度です。4月中旬は閉園期間中ですが、今年は予定どおりの夏期開園を迎えられるのでしょうか?予算は絞りましたが、冬の間に傷んだ施設の修繕など必要最低限のことはしっかりと行い、夏期開園を迎える準備を整えたいと考えています。
 近年、北海道の生き物たちの施設整備を行っており、東門下のゆっくりロードに、エゾタヌキ・エゾユキウサギ・キタキツネなどの施設を充実させ、加えて在来種の樹木も植えてきました。そして、今年の夏期開園に合わせてエゾモモンガの施設がオープンします。旭山動物園では初めての昼夜逆転施設です。エゾモモンガは展示していたのですが、基本は夜行性の動物なので日中は、ほぼ巣箱の中で過ごしています。「見たよ!」と言う人がいたら、ラッキーな来園者です。昨年はエゾモモンガの幼獣4頭を保護し、超久々に人工保育を行いました。手に乗せてケージから出すと、肩から足までまとわり付くように素早く動き回るのですが、あの大きな目でじっと一点を見つめ始めると、ピタッと動きが止まります。おしっこです。Tシャツやズボンに、たらーっと流れ落ちます。そのにおいが独特で…。じっと見つめるつぶらな瞳に惑わされてはいけません。エゾモモンガはリスの仲間で、旭川でも近郊の雑木林などに生息しています。厳しい冬を冬眠せずに生き抜きます。キツツキの仲間が作った木の中の空洞などをねぐらとし、子育てもそこで行います。豊かな雑木林の象徴的な存在です。
 新しくオープンするエゾモモンガ舎は夜間に照明をともし、日中を暗くすることで動物にストレスをかけずに昼夜を逆転させる環境を整えた夜行性動物舎です。「夜」活動するエゾモモンガを「昼」に観察することができます。森の妖精のような姿をぜひご覧下さい。あの滑空する姿も見られるかもしれませんよ!

令和3年4月12日 

旭山動物園 園長 坂東 元