ゲンちゃん日記・平成28年11月「秋の風物詩と、仮住まい中のニホンザル」

最終更新日 2016年11月21日

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ゲンちゃん日記・平成28年11月「秋の風物詩と、仮住まい中のニホンザル」

秋のシンリンオオカミ

(写真)秋の旭山動物園 ※写真はシンリンオオカミ

 

さてもう冬期開園ですね。この原稿を書いているのは10月中旬。不安定な気候が続いていますが、太陽が出ると、暖かい建物の壁にはアキアカネやノシメトンボいわゆる赤とんぼ、たぶんオオクロバエ、カメムシの仲間、テントウムシがたくさん引っ付いています。この中でも厄介者の筆頭はカメムシの仲間ですね。どこからともなく建物内に侵入し長靴の中や上着の内側などに入り込んでいて、ちょっと刺激するともう大変です。特に長靴の中は最悪です。次に何ともうざったいのはオオクロバエ、いつの間にか建物内に侵入していて、体が大きく動きが鈍いので存在感があり、いきなり机の上にボタッと舞い落ちてきたりします。どうしてこんなに室内に侵入できるのか観察していると、特に気温が低い日には、ヒトの服にひっそりと留まり、微動だにせず存在感を消し、そのままヒトと共に室内に入って来るのです。どこか憎めない…奴らです。「おおかみの森」の岩に留まる無数の赤とんぼと共に、僕の中では秋の風物詩です。今年はどうなってるのかと思っていたトドノネオオワタムシ(雪虫)も現れました。もうすぐ冬です。

ニホンザルのさる山の改修も順調に進んでいます。ニホンザルたちは旧総合動物舎のライオントラ舎で生活をしています。決して広くはないのですが、檻の放飼場が2つと、放飼場をつなぐ建物内のトンネルのような通路からなっています。60頭を超える大所帯なのですが、実に快適そうに生活をしています。発情期を迎えるこの時期、狭いので群れの状態が不安定化しないかとの懸念もあったのですが、とても安定しています。

改めて彼らを観察しているとどちらかの放飼場でちょっとした追いかえあいが始まると、追われた方はトンネルを抜けて別の放飼場に逃げます。追う方も相手がトンネルに入ると見えなくなるので深追いはしません。時間が経つと頭に登った血が冷めて次に出会った時には何事もなかったようになります。

なるほど広くてもずっと相手を目視できるとカッとなった気が収まるきっかけが見つからないこともあるんだと気づかされました。また檻なので天井にぶら下がることができたり、成獣には体が大きすぎて無理でも4~5歳くらいの若い個体ならば腰掛けられる隙間があったりと面積は狭いけれど利用できる体積は広く、自分の居場所を確保できていることが全体の落ち着きにつながっていると思われることも分かりました。

リフォームにも反映させなければとアイデアの具体化を協議する日々が続きます。