この手紙がつく頃、今年度最大のメインイベント「あざらし館」が
よっぽどのことがない限りオープンしているはずです。
今、オープン3週間前なのですが、
この頃から悪いことばかりが頭をよぎるようになります。
この前は浮かべてある漁船が沈没している夢を見ました。
不安のタネがいっぱい見つかるのもこの頃からです。
もうあざらし館は全てできていて、アザラシの引っ越し、
海水魚の手配、手作り看板の作成など最後の作業に取りかかっています。
まだ一般開放されていない今だけが、自分だけのあざらし館です。
夜、水中照明をつけて、アザラシを眺めています。
何時間居ても飽きなくて、
こんな贅沢いいのかなって思いながら時間が経ちます。
考えていたようにアザラシが楽しそうに泳いでいて、
水槽越しに目が合う瞬間がたまりません。
なんか言いたいのかな…なんて動物園人らしからぬことを思ったりします。
正直みんなのものになってしまうのが、ちょっと寂しいなって気分に浸っています。
さて、あざらし館で飼育的に最大のチャレンジは、魚とウミネコとの同居です。
テトラポットの隙間に魚が隠れていて、たまに出てきた魚をアザラシが追う、
漁船の縁にはウミネコがとまっている。
そんな当たり前の風景を再現したいと考えたからです。
魚の同居は水の管理がうまくいくかが勝負です。
僕たちが泳ぐプールのように、きれいにするだけならば問題ないのですが、
塩素が多いと魚は生きていけません。
そこで熱帯魚を飼育するのと同じような
生物ろ過を取り入れたシステムにしました。
先日、試験的にウグイを放したのですが、
当然アザラシに追われて命を落とすものもいたのですが、
テトラポットの隙間に逃れたものも多数居ました。
そして1週間が過ぎても、ウグイは生存しています。
ウグイがすめる水ができたのです。
しかもアザラシが見えなくなると泳いで出てくるのです。
ウグイの補充はみんなで釣ってくる作戦です。
もう一つのウミネコ同居は、これから取り組みます。
はたしてオープンの時に同居が成功しているでしょうか?
ゴマフアザラシのハム
画:ゲンちゃん