第64回開催内容

情報発信元 広報広聴課

最終更新日 2016年2月24日

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第64回対話集会の様子

第64回は、市内及び近郊市町村において障害児デイサービス事業を実施している施設・事業所が集い、発達や成長の遅れもしくはその可能性のある児童及びその家族への相談支援の充実に向けて地域ネットワークの構築に努め、福祉サービスの質の向上に貢献することを目的として活動している「旭川地域児童デイサービス等連絡協議会」の皆さんと、日ごろの活動状況や今後の課題、市への提言などについて対話、意見交換を行いました。

日時など

日時

平成24年8月20日(月曜日) 午前10時から午前11時まで

場所

秘書課 第2応接室(旭川市役所総合庁舎2階)

相手団体

「旭川地域児童デイサービス等連絡協議会」(廣岡輝恵会長)

出席者

  • 旭川市長 西川将人
  • 「旭川地域児童デイサービス等連絡協議会」(当日の参加者8人)

廣岡輝恵 会長(株式会社 ナビ 代表取締役)

瀬川眞砂子 事務局長(NPO法人地域生活支援ネットワークきらり 施設長)

渡邊まゆみ 監事(有限会社どれみ 代表取締役)

安達潤 顧問(北海道教育大学旭川校 教育発達専攻特別支援教育分野 教授)

田中さん(施設利用児童の父母)

植田さん(施設利用児童の父母)

その他、記録係の方2人

対話の内容

市長あいさつ

廣岡会長あいさつ

意見交換

  1. 保育所等訪問支援事業について
  2. 障害児支援利用援助計画について
  3. 児童発達支援事業及び放課後等デイサービスについて
  4. 旭川市次世代育成行動後期計画と障害児サービスの連携について
  5. 市民目線の行政サービスと民間活用の課題について
  6. 旭川市における児童発達支援の計画の必要性について
  7. 障害児支援に関わる関係機関の情報共有と連携について
  8. 地域への理解・啓発について
  9. 障害者の権利条約批准に向けた特別支援教育のこれからの転換について
  10. これからの特別支援教育システムについて
  11. インクルーシブ教育に向けた特別支援教育の転換から考える就学前支援の課題について
  12. 民間と行政の協働と役割分担について
  13. 行政職員の合同研修への参加について

市長終わりのあいさつ

(参加者から寄せられた意見と、市長のコメントについてまとめたものを掲載します)

(補足)今回の対話集会では、配付された資料に基づき意見交換が行われた場面もあり、文書として分かりづらい部分があります。
「旭川地域児童デイサービス等連絡協議会」の皆さんから配付された資料は、次のとおりです。(PDF形式)

資料1 旭川地域児童デイサービス等連絡協議会(旭児連)資料(PDF形式 198キロバイト)

資料2-1 旭川市における子育て支援の在り方と地域課題について(PDF形式 165キロバイト)

資料2-2(資料2-1の別添資料)(PDF形式 184キロバイト)

資料3 旭川市における児童発達支援の計画の必要性について(PDF形式 110キロバイト)

資料4-1 インクルーシブ教育に向けた特別支援教育の転換から考える就学前支援の課題(PDF形式 111キロバイト)

資料4-2(資料4-1の別添資料)(PDF形式 361キロバイト)

市長あいさつ

おはようございます。
今日は、旭川地域児童デイサービス等連絡協議会の皆さんとの対話集会ということで、大変お忙しい中、市役所までお越しいただきまして、ありがとうございます。
市長に就任をしてから、まもなく6年になりますが、この間このように対話集会を継続してきており、今日で64回目になります。子育て関連の団体の皆さんとは、保育所や幼稚園の関係の皆さんや、育児サークルの皆さんなどとの対話集会を行ってまいりましたが、障害のある子どもたちと日ごろから接している皆さんとの意見交換会は今日が初めてだと思いますので、私も大変楽しみにしてまいりました。
これまでの対話集会の中で大変印象に残っておりますのは、こども通園センターひまわりが、今は旧道北病院附属看護学校に移設しましたが、以前、第二庁舎にあった時にはスペースが狭く、待機児童が多いという課題がありました。

市長あいさつの様子

また、一時預かりをしていなかったので、通園している子どもの兄弟はほかに預けて来なければならないという保護者のご意見がありましたので、通園センターで一時預かりをさせていただくようになりました。移設後は、待機児童の解消という部分を含めて、さらに前進したと思っておりますが、子どもたちもその症状が個々、多種多様でありますので、行政だけでは十分に対応しきれていない部分もあるかと思います。
旭川地域児童デイサービス等連絡協議会の皆さま方は、約30か所の地域の民間の皆さんの施設で構成されているとのことですので、私たち行政と民間の皆さんが意見交換を密にしながら、子どもたちが個性を伸ばして育っていくことができるような地域のまちづくりを進めていくことができればと思っております。
また、市の組織の中には子育て専門部がありませんでしたので、平成20年度に機構改革をして、子育て支援部という新しい部を設けました。これまで、さまざまな部署に渡っていたものを集約しようという思いでおりましたが、まだ十分でない部分もあるかもしれません。例えば今日も子育て支援部をはじめ、福祉保険部、教育委員会と、それぞれの担当者が出席しておりますが、子どもを一貫して教育や育てていくという部分では、より窓口を一本化していくことが、子どもたちや保護者にとっても、また民間の事業者の皆さんにとっても必要なことではないのかという思いもあります。
ご承知のように、特別支援学級等に通う子どもたちが年々増えてきている状況になっており、それをひとつの背景にしながら、旭川市への道立高等養護学校の誘致活動も行ってきているところです。北海道教育委員会に一日も早く旭川市内に設置していただきたいという要望をこれまで続けてきておりますが、なんとしても実現したいという思いで、最後まで取り組んでいきたいと考えておりますので、引き続き皆さま方からもいろいろとご助言やお力添えをいただければと思っております。
冒頭簡単ですが、私からのあいさつに代えさせていただきたいと思います。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

廣岡会長あいさつ

今日は、お忙しい中、貴重なお時間をいただきまして感謝申し上げます。
旭川地域児童デイサービス等連絡協議会は、通称、「旭児連(きょくじれん)」と呼ばせていただいております。旭児連は昨年度から活動を開始して2年目を迎え、これから旭川で連携した活動をしていこうという動きが始まったというかたちになります。
今日は限られた時間ということですから、活動の報告等は資料1(PDF形式 198キロバイト)をご覧いただきたいと思います。旭児連は、平成21年、22年に民間の呼びかけで開催された「子育て育成ネットワーク会議」の中で、このような横のつながりが必要だという話しになりました。設立した当時は市内に20か所ほどの事業所ができていたころで、ネットワークをつくるには良い時期だということになり、平成23年4月に正式にスタートしました。現在、7月の時点では30か所ほどの事業所があり、とりあえずは民間で子どもたちの支援をしっかりとつないでいこうということになりました。できればそこにこども通園センター、みどり学園やわかくさ学園が共に連携しながら、旭川市全体の療育、発達支援などについて考える窓口になれるといいのかなという思いもあり立ち上げてまいりました。ここでこのような機会をいただきましたことは本当に感謝しているところです。
私たちの活動はまだ本当に手探りで始めている段階ですが、昨年は2回ほど研修会を開催し、交流を深める活動をしてまいりました。市の障害福祉課が窓口となっていただいて運営面でオブザーバーとして加入していただけたことで、こども通園センターとのつながりもかなり深くなってまいりましたし、近隣の発達支援、母子通園センター等の方も、加盟していただいて、情報交換をしながら動いているというのが現在の状況です。

廣岡会長あいさつの様子

旭川では、実は8割が学齢児の子どもたちを受け入れている障害児のデイサービス事業ということで、全国的に見ても、こういう成り立ちの所はすごく貴重であり、大抵は未就学の早期療育の部分でスタートしてる地域がほとんどですが、旭川の場合は10年前に支援費制度が始まった時に学齢児を中心に活動を始めた事業所が今も頑張っているということです。
これからますます発達支援という部分で教育との連携、それから「障害」のくくりではなく、「子育て」というくくりの中で、なんとか私たちの活動も共に歩むことができればと考えておりますので、今日はそのあたりの意見交換をさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

意見交換

1.保育所等訪問支援事業について

(廣岡会長)
保育所等訪問支援事業については、まだ、始まったばかりの制度であり、障害というくくりでスタートしております。学校や保育園に出向いて支援ができるようになり、画期的な制度ですが、まだ伝えにくさが残っています。
課題として資料2-1(PDF形式 165キロバイト)に整理しておりますが、この制度があまり知られていないことが一番大きな課題となっております。また、子育て支援と障害児支援は切り離して考えることはできません。私たちは子育て支援の中で子どもたちを支援していきたいと願っております。「障害児」という括りが親御さんにとってハードルになっていること、課題の一つとなっております。受給者証にも「障害児」と明記されているので、その部分で、使いやすい制度としていくための配慮や工夫が必要だと思います。
(瀬川事務局長)
この保育所等訪問支援事業というのはまだまだ周知されていなくて、来られたら困るということで、保育所の方から拒否された事例もあります。将来的にはこの事業が主になっていくだろうと思います。障害のある子が特定の施設に通うのではなくて、障害のある子が地域で生活するように私たちが地域に出て行くことが必要で、そのような事業が主になっていくべきだろうと思います。そういう意味において制度が出来たということで行政の方が関係機関に周知徹底を図っていただけると親御さんも安心してお子さんを幼稚園や保育所に通わせることができると思っております。
(田中さん)
瀬川さんからも、お話がありましたが、うちの娘も地域で育てたいということで保育所に入れようと思いましたが、門前払いという感じがありました。ただ、市の方にお願いはしましたが、やはり根本的に最終的には親ということで、親が子どもを連れて通っている実態があり、今から10年ぐらい前は親がやってました。今は児童デイサービス等も増えて、親としてはすごくいい地域になってきているので、さらにその点や心のケアとか配慮していただければもっとスムーズにいろいろなサービスを受ける方が増えると思っておりますので、お願いします。

2.障害児支援利用援助計画について

(廣岡会長)
市には様々な相談支援事業や窓口がたくさんあり、巡回相談も有意義に機能しておりますが、これからの連携が課題になると思われます。それから24年から26年の3か年にかけて、障害のある方全員にマネジメントをしてサービス計画をつくっていく動きに、障害児も加わって行きます。これから体制整備を考えなくてはなりませんが、私たち民間が「やります」と手を挙げてやっていくだけでは不十分でありますので、是非、行政と一緒に数、質の問題、また、どういったことに取り組んでいくことが利用者にとって使いやすいマネジメントになっていくのかを考えていく必要があると捉えております。ここがこれからの障害児支援のキーポイントになってきますのでしっかりと機能していくことで、今までサービスに繋がらなかった方や利用方法が分らなかった方を適切な支援に結びつけることができるようになります。これは今、障害福祉課で頑張っていただいており、秋口を目処に動き出す予定と伺っております。ただ、手を挙げていただける事業所が少ないことや、人材が足りていない等の問題がありますので、要件の緩和等を含め地域全体で考えていかなければならない課題であると思います。
この相談支援業務に関しては経済的な部分を担保することが大変厳しい事業になっております。相談支援員を雇用するだけの収益を確保することが国から出ている単価だけでは難しいという現状があります。こういったところもしっかりとしたかたちで、市として責任をもって実施していただくためには、ある程度、経営的な安定を図るような仕組みづくりなども一緒に検討していただきたいと思っています。
現在、サービスの支給決定を受けている児童だけでも900名を超えています。その子どもたち1人1人全員に手厚いマネジメント、そして支援とつなぎ、横の関係づくり等ができる人材を育成できればと思いますので、ぜひ一緒に考えていけたらと思っています。

3.児童発達支援事業及び放課後等デイサービスについて

(廣岡会長)
今年の4月から未就学児は児童発達支援事業、母子通園センターなどはこの事業になるかと思います。また、学齢児は放課後等デイサービスというサービスを使いながら、放課後や夏休み冬休みなどの長期の休みの間は発達支援を受けることができるという流れになってきています。
現在、旭川には中高生を受け入れできる事務所がすごく少ない状況です。子どもが大きくなっていくと、逆に手がかかるようになります。いろいろな意味でマンツーマンでの支援が必要になってきますが、一番大事なところの支援が今一番薄いというのが旭川の現状になっています。これも地域課題の一つであろうと思っています。
特に軽度の方です。発達障害があって家と学校の往復しかできていない。どこにも地域で活動の場がないというお子さんがかなりいらっしゃいます。こういった方々を障害の枠だけではなく、まち全体の中で活動ができるようなまちづくりをこれから考えていかないと、障害分野だけでは補えない部分がたくさんあるのではないかと思っております。この三つが大きくこれから変わっていく中で旭川市次世代育成行動計画の後期バージョンが作られていくかと思いますが、できればその中に障害を持った子どもたちに、障害のくくりではなくて子どもという同じくくりの中に一緒に入れていただくと言いますか、そういった視点を持った計画作りをお願いしたいなと思っております。

4.旭川市次世代育成行動後期計画と障害児サービスの連携について

(廣岡会長)
特別支援を受けることによって、実は通常の保育の制度が使えなくなってしまう場合があります。そうすると、どうしても障害児枠のサービスに頼らざるを得ない。障害児枠のサービスだとやっぱり民間なのですべてを網羅しているわけではなく、そこそこで漏れが出てきます。そういったところで子育てがしにくい環境に逆に陥ってしまっている親御さんがいらっしゃいます。こうした部分を全体で検討していただけるような仕組みがあると良いと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

5.市民目線の行政サービスと民間活用の課題について

(廣岡会長)
総合子ども教育センターですが、ぜひ期待をしております。これは、ぜひとも窓口をできるだけワンストップにしていただくような取り組みをお願いしたいと思います。私たち市民の側から見ると相談窓口はたくさんありますが、どこに相談に行っていいか分からないという親御さんの声をよく聞きます。

対話の様子

相談する側がどこかに引っかかれば必ずつながっていくというのがやっぱり理想であろうと思いますので、そういった行政的な取り組みもぜひ構造改革を含めて、ご検討いただければなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
(渡邊監事)
小学校のお子さんも増えてはいますが、まだ幼児やひまわりに連れて行くことができない幼児は、花咲町ですので車がないと行けないとか、バスの便が悪くて結局は連れて行けないことがあります。小さい子をバスに乗せることも大変で、公共の乗り物に乗るのも大変というお母さんが、今度、どうしたらいいのかという相談もまた増えてきています。
さらに通常の幼稚園、保育所に門前払いされたというお話もありましたが、うちは障害児保育はやっていませんからという感じで切られてしまうお子さんがたくさんいて、やはり小さなお子さんのお母さんがまだ20歳代くらいで、どうしていいか分からないと思います。経験を積んだ方々ではないので、どうしていいのか、どこに申立てていいのか、どこで騒いでいいのかも分からないお母さんたちもたくさんいます。高校生まで見なければならない子もたくさんいますし、1歳、2歳でいっぱいいっぱいになってしまうお母さんもたくさんいらっしゃいます。そういうお子さんたちの総合した相談窓口が一つできて、きちんと振り分けてくれる所があればいいなと思っています。
(市長)
そうですか。貴重なご意見ありがとうございます。

6.旭川市における児童発達支援の計画の必要性について

(瀬川事務局長)
事務局長をしている瀬川と申します。
旭川市における児童発達支援の計画の必要性についてという資料3(PDF形式 110キロバイト)を用意しました。先ほど廣岡会長が発達支援というのは子育て支援が重要というお話をされましたが、本当にそうなんです。そういう意味においては1歳半検診それから3歳児検診などの検診からきちんとつなげていくシステムが今は求められてるような気がします。ある程度はルートがあると思いますが、ルートに乗らないで外れていくお子さんも結構おります。きちっとした数は特定できないにしてもある程度の推定、そこから計算して大体旭川市にはどれくらいの療育機関が必要だろうかというような計画も必要なのかなと常々思っているところです。
それと親御さんは常に相談する場所を求めております。身近なところですぐにアドバイスを受けられるような場を求めておられるので、そういう場所を確保してあげることが必要だと思います。通園センターについては先ほど待機児童が解消されたとのお話でしたが、私の試算ではまだいるのだろうなという感じがします。
旭川市内にこれだけ発達支援事業の事業所が増えてきたので、どの地域にどのような場所があるのだろうかという、相談場所と療育の場所というところも含めて把握した上でこの辺は足りないとか、この辺はもう十分だっていうようなまちづくりの計画があってもいいのかなって常々こう思っているところです。とにかく親御さんが小さいときに子どもの障害と向き合い、そのときに困らないようなシステムを作ってほしいです。

7.障害児支援に関わる関係機関の情報共有と連携について

(植田さん)
息子が今、小学3年生の広汎性発達障害で自閉傾向の強い息子ですが、3歳になりましてもなかなか言葉が出なくて、ひまわりの方にお世話になりました。みどり学園の方にも年少から3年間お世話になりまして、早期療育というすごく重要な部分を受けることができて本当に感謝しているところです。幼児期においてはそのような専門の所に入れていただいて十分な療育を受けることができました。児童デイサービスの方とも情報交換していただいて連携を持って一貫した療育指導、対応についても親も教わりましたし、障害児であっても子どもとして成長するという実感を持つことが出来ました。
健常児のお子さんにおいても、今、小学校に上がる就学についてスムーズに行けるかどうかということで学力が随分変わってくるであろうということも言われておりますが、特に発達障害のある子どもにとっては環境の変化というものにとても弱くて、そこの部分がすごく重要になるということはドクターの方からも、関係の各先生の方からも小さい頃から教えていただいて、それに伴う環境整備を随分頑張ってきました。引き継ぎということで、小学校の方へ今まで幼児期に培ったことを引き継ぎ特性においても対応についても多種多様です。
これをまた、小学校に入って一から先生がその子と向き合ってデータを取っていくということでは、なかなか進まないですし、本人たち、子どもたちも混乱をしてしまうので引き継ぎというものが重要ということですが、なかなか十分に生かされることができず息子の方が不登校という状態に陥りました。
いろいろ学校の方への相談や解決に向けては児童デイサービスの先生方にもお話し、一緒にご相談も乗っていただきましたが、なかなかマイナスイメージを払拭する材料がなく、息子の方が行けなくなってしまいました。ただ社会とのつながりを絶ってしまうっていうことは成長においてやはり大きな問題ですので、どうにかということで現在は私立のスクールの方に通わせています。
今、ちょうど1年が経ち、落ち着いて過ごすことができるようになりました。やはり地域の小学校で成長させたいという思いがあります。親への経済的な負担、私立ということで授業料もかかりますし、地域と離れた場所へのスクール通いというようなこともありますので、できれば公立の特別支援教育を受けたかったという気持ちもまだあります。ぜひ、幼児期から学齢期への引き継ぎを十分に生かされるようにお願いしたいなと思います。
もう一つですが、現場の先生方については幼児期においては専門的な所に行かせていただいて、専門知識があっていろいろなことを親も子どもも学ばせてもらうことができましたが、小学校の特別支援についても先生方の更なる知識を深めていただいて、更に教育現場が充実できるようにお願いしたいなと思います。
(市長)
どうもありがとうございます。

8.地域への理解・啓発について

(田中さん)
私の娘は今中学校2年生ですが、未熟児ということですごく小さく生まれました。生まれたときから未熟児ということで、障害について自分の中では理解をしていましたが、親としてそれを受容できるまで、時間がかかりました。受給者証の件や療育手帳、身障手帳というのは、障害っていう名前が付いていて、受容していたつもりですが、やはり言葉の壁がありまして、何かレッテルを貼られたような感じがすごくしたのを今でも覚えております。
地域で生きていきたいということで、今、学校の方は特別支援学校へ行っていますが、親として何ができるかをすごく考えています。わが子が障害リスクがあるという、そのような気持ちが、すごく今でも残っています。今地域の方を見ていると、障害の軽い方は、自分の子の障害を理解できず、受容できない方というのはなおさらこの点を配慮していただいて、手帳にしても、地域生活がスムーズにできるように配慮していただきたいと思っております。
(市長)
そうですか。貴重なご意見ありがとうございます。
私も、直接お聞きしますと、大変さが非常に伝わってきます。ありがとうございます。

9.障害者の権利条約批准に向けた特別支援教育のこれからの転換について

(安達顧問)
旭児連の顧問をやっております安達と申します。教育大学旭川校教育発達専攻特別支援教育の教授をしております。私自身、以前施設の職員をしておりましたので、現場の視点から今日は早期の支援についての課題を述べさせていただきます。
これまで旭児連の方からと親御さんの方から話をしていただいた部分で、大きく2つの課題があります。
1つは障害があるのかないのかという言葉の問題であったり、受給者証の問題であったり。障害児を支援するシステムと子どもを支援するシステムはこれまで分断されていて、その間を親御さんが乗り越えきれず、間に落ちてしまうことがあります。
もう1つは、それと連動しますが、子育て支援と障害福祉と学校教育の間にもギャップがあって、うまくつながっていかないと部局間の離断性や障害ということに関するギャップということになります。
新しい制度でいうと、障害児の支援が児童福祉法の方に入りましたので、国としてもその辺りを少し埋めていこうということになってきています。大きな動きとしては、資料4-1の1(PDF形式 111キロバイト)にありますが、障害者の権利条約の批准に向けて国全体が動いていることは市長もご存知の通りだと思います。2006年に採択されて2007年に当時の国連本部が条約に署名され、その後発効されまして、去年、障害者基本法の一部改正が8月にありました。また、今年の7月23日ですが、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進という報告が中教審から出ています。この中では、障害者の権利条約の批准を受けて、障害の有無に関わらず、すべての子どもたちが自分たちの権利をきちんと教育の中で守っていけるようなことになってきています。

10.これからの特別支援教育システムについて

(安達顧問)

資料4-1の2(PDF形式 111キロバイト)のところで、これからの特別支援教育システムということですが、まず就学先の決定の仕組みが変わってまいります。資料を読みますと「仕組みを改める」とあります。就学基準というものがありまして、それに該当すると原則特別支援学校ということになるのですが、その仕組みを改めようということです。その就学先の決定のところで総合的な観点から就学先を決定する仕組み、そして、本人・保護者の意見を最大限に尊重ということが明記されています。
そして、本人・保護者と市町村教育委員会,学校等が教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うということを原則とし,最終的には市町村教育委員会が決定するということになります。障害のある児童生徒の就学先決定についてですが、就学基準に該当する場合は原則として特別支援学校、例外として認定就学者というのがありまして、これは小学校等で適切な教育が可能だと判断された者については認定就学というようになります。それが現在のシステムだと該当・非該当ということで二つに分けられるということになります。
改正後は権利条約以降のインクルーシブ教育に向けたシステムのイメージ図でございますが、就学前のところから、個別の教育支援計画を活用しまして、この子どもに対してどのような支援が一番適切で、何が必要となっているだろうかということを、関係者が十分子どもを理解をしつつ、就学に向けて進んでいき、就学先決定については総合的な判断ということで、ここで就学先についての支援会議のようなものを行うということです。これまでは就学基準に合致しているかしていないかということで指導という意味合が強かったのですが、これからは相談という意味合いが強くなってくるということになります。ですから就学先の決定システムについては本人・保護者の意見と、これまでの支援の流れがどれくらい反映されるかが非常に重要になってきます。恐らくこの流れはもう変わらないと思いますので、これを見越した様々な制度的な対応というのが必要になってくると思います。
最後は合理的配慮,関係者の合意形成をして個別の教育支援計画に記載するということになります。合理的配慮とはどういうものかというと資料4-1の2の2(PDF形式 111キロバイト)に書いてありますが、「障害のある子どもが、他の子どもと平等に教育を受ける権利を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要で適当な変更・調整を行うことであり,障害のある子どもに対しその状況に応じて,学校の教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」ということになります。ですから、これからの就学先の決定システムでいいますと、本人・保護者との意思がやはりその地域で暮らしたい,そして学校に行きたいというようになった時に、それを可能にするような合理的配慮を学校側が学校のシステムとして充実していくことが強く求められるということになります。合理的配慮の否定は、権利条約第2条によりますと、障害を理由とする差別に該当するというように記載されていますので、これはかなり強い変更になってくると思われます。

11.インクルーシブ教育に向けた特別支援教育の転換から考える就学前支援の課題について

(安達顧問)

資料4-1の3(PDF形式 111キロバイト)のところの「インクルーシブ教育に向けた特別支援教育の転換から考える就学前支援の課題」ですが、現行のシステムにおいては、認定就学者数がかなり高い割合で存在しています。資料4-2にありますが、基準に該当した児童の32.4%です。これは、3割ですから非常に大きい数です。これは小学校の特別支援教育の充実と反映している可能性もありますが、就学指導の結果と保護者の意向の食い違いを反映している可能性もあるわけです。そうしますと、これからインクルーシブ教育に向けて就学先決定システムが変更された場合に、この背景が現状としてどのように現れてくるのかということが非常に大きな問題になってくると思います。
先ほど資料4-1の3の2(PDF形式 111キロバイト)のところですが、新たな就学先決定システムを円滑に機能するために,早期からの教育相談を充実していくことが非常に重要だと思います。そして、基準に非該当で特別支援学級適当という児童というのが存在します。この子どもたちについても合理的配慮が求められますので、総合的な判断が求められます。そうすると旭川市の現状でいうと、現状の認定就学者というのはかなりの数です。この子どもたちについて、合理的配慮をどうしていくのか。総合的判断をどうするのかということを考えると、今から考えるべき課題だと思います。その意味では1歳6か月、3歳児検診の時点で、子育て支援に軸をおいた親子支援を充実していくとが必要だと考えられます。全国レベルでは5歳児検診というような話も地域によってはありますが、このシステムになってくると5歳児検診では遅く, 1歳6か月、3歳のところで、丁寧に子育てから支援を始めていくということの重要性が示唆されるところであります。子ども発達支援事業の利用児、児童デイサービスの利用児などについては,就学相談への事業所スタッフの参加などが望ましいですし、もう少し掘り下げて就学先決定システムをどう考えていくかということが非常に大きな課題となってきます。

資料4-1の3の3(PDF形式 111キロバイト)のところですけども、関係各所の連携についてです。子育て支援から発達支援、必要に応じた医療の利用と療育支援への連続線を構築することが大事だと思います。障害受容を急がせるということではなくて、子育て支援の延長線上に必要な支援への自然なアクセスラインを配置するというような重層的なシステムが必要になってきます。そういう意味では、現在、動かしていただいています旭川市の子ども巡回相談がありますがこれが非常に重要だと思います。というのは、保育所等訪問支援は受給者証がないと利用できませんが、この旭川市子ども巡回相談は子育てと発達支援の中間をちょうど支えていくような役割を果たしてくれていることになります。ですから、その旭川市子ども巡回相談と保育所等訪問支援がうまく重なり合って連続していく中で、親御さんが育てづらい子どもについても育てていけるという子育てのかたちがあると、その後の支援や、就学先決定システムの中で本当に子どもにとって適切な学びの場を選択していけるようなベースになってくると思います。ですから今の子ども巡回相談の事業をぜひ民間の保育等訪問支援と絡めていくような機能を総合子どもセンターの中で持っていただきたいと思います。
そして旭川版「すくらむ」を動かしていただいて、ありがとうございます。これを就学前から活用していくことが大事だと思います。今、幼稚園・保育園でも活用が進んでおりますし、児童デイサービスでも活用しています。美瑛町、当麻町、愛別町などでは出生時全員に基本シートだけですが配布をして、子育て支援ファイルとして活用しています。旭川市でもそのようなかたちで就学前から子育ての連続性というものを担保していって、子育て支援から発達支援ということを下支えしていくような、重層的なシステムを作っていかないと、親御さんが子育て支援と発達支援のギャップに落ちてしまう。そういったことが虐待にもつながるという現状がございますので、就学前のところの支えをしっかりしていくという課題が存在するということを市長とここで共有できればと思ってご報告させていただきました。
障害者の権利条約の批准ですが、非常に大きな変化が予想されます。ですからそれを見越していく必要がありますし、恐らくこのインクルーシブ教育に向けて進めていくということは、特別支援学校の管理職の先生方は知っておられますが、通常学校の管理職の先生方はあまりご存知ない可能性があります。
そうするとそこの温度差で、子どもがそこでうまく適切な教育を受けることができないということにもなりますので、教育の部分におきましても特別支援教育という枠を超えてこれからのインクルーシブ教育ということで全体についての普及でありますとか、啓発なども市の方から積極的に行っていただく必要があるかと思います。ぜひその点よろしくお願いいたします。

12.民間と行政の協働と役割分担について

(廣岡会長)
今日は現場の職員さんにも来ていただいておりますが、私たちの市民目線から見ても本当に一生懸命取り組んでいただいているのがよく分ります。ただ、やはり構造上、横の関係、縦の関係で、どうしてもやりにくさがあったり、利用者の側から見たときに、何かが足りなかったりという構造に、市の中ではなっていることをすごく感じています。例えば具体的なところで言えば1歳半検診、3歳検診のところに、これから始まる相談支援のところをうまくつないでいただくというか、協力させていただくという体制もとれるかと思いますし、そうしたこれまでの仕組みを変えていく時期にきているのではないかなと感じています。民間はうまく活用していただきたいというふうに、私たちは思っております。ただ、その民間と行政の役割分担、そして協働というかたちが、旭川としての子育てやまちづくりというようなところとつながり、今まで点であったものが、線になり面になることが必要です。
(市長)
なるほど、分かります。
(廣岡会長)
これが一番大事で、面になっていれば、こぼれそうな方もどこかで拾ってあげられます。
線だと落ちてしまうのです。今やっと地域全体が線にはなろうと努力していると思います。それは行政の方にも理解していただいて、「やろう」と言っていただいていますし、私達もやらなければならないと思って、やりませんかと言って手を結び始めた。そこを面にしていくための仕組みというものを是非検討していただきたいと思っております。
あと、実際の現場の話をさせていただくと、児童デイサービス事業の8割が学齢児のお子さんを支援していますが、その8割の中の4割くらいが特別支援学級のお子さんになってきています。そのお子さんの状態を学校と共有しようと思った時に、なかなかケース会議が開けないといった、教育とのハードルの高さというのが実感としてとてもあります。やはりお子さんを真ん中において、それぞれの役割で支援ができるようになっていくと、お子さんにとっていちばん良い支援が届いていくようになると思っています。

第64回対話集会の様子

そのあたりの意識も含めて、市民に対する意識改革の部分も、市としての役割になるのではと思います。そういったところも是非これからの新しい計画の中で取り組んでいただけると有難いというふうに感じております。
(市長)
はい。ありがとうございます。

13.行政職員の合同研修への参加について

(廣岡会長)
最後に情報提供になりますが、旭児連では毎年2回程度の勉強会をしています。今回、合同研修会というかたちで、安達先生の教育大旭川分校と北海道特別支援教育学会道北支部、民間の保育所相互育成会、旭川市幼稚園協会などの方々と一緒に研修会を開催できないかということで現在調整をしております。それでぜひともこういう子どもを真ん中に置いて一緒に関わっている立場の人たちが共に参加できるようにしていただいきたい。行政の方はなかなか勤務で出られませんとか勤務外では出られませんとかで、大変苦しいようです。このような民間の研修会にも、同じ仲間として参加していただけるようにしていただければ、もっと民間との距離を近づけて、本当に子どもを真ん中に置いた話ができて、そこから良い支援につないでいくことができるのかなと思います。そこのところが少しハードルが高いという気がしておりますので、ぜひそこは市長のお力でよろしくお願いしたいと思います。

市長終わりのあいさつ

今日はいろいろとお話を聞かせていただきありがとうございました。
ご意見を参考にしながら、今後、市の地域計画等を策定していかなければいけないと思っています。特に小学校入学時や、もしくは中学、高校生の年代時のスムーズな情報の移行が、まだ不十分だという印象を受けています。以前にも別の団体の方から、そのような話をうかがった記憶があります。そういった情報の引き継ぎができるように、行政が学校現場や施設等の潤滑剤、あるいは歯車にならなければならないという思いで今お聞きしておりました。
また、総合子ども教育センターについては、いろいろな機関とも連携しながら、センターの果たすべき役割について整備しながら、また皆さま方とも意見交換をさせていただいて、機能的なセンターにできればと思っています。
インクルーシブ教育については、もっと積極的にやっていくべきだと思っており、高等養護学校についても、例えば普通校の敷地内にそういった高等部があって、健常者と一緒にいろいろな活動ができるなど、そのようになれば本当に良いと思っています。現状では、まだそこまでは学校現場の体制等が整備されていませんので、今、単独の高等養護学校の誘致活動をしておりますが、時代の流れの中で、障害者の権利条約の部分が機能していく中で、そういった社会に進んでいくべきだと思っておりますし、また今後そうなっていくだろうと期待しています。私たちもいろいろな部分でこれからも頑張っていきたいと思いますし、市の既存の事業等では十分ではない部分もあるでしょうし、その狭間の部分の話も交通手段等も含めて聞かせていただきましたので、今後の政策の中での参考にさせていただきたいと思っております。本当に今日は貴重なご意見をありがとうございました。

お問い合わせ先

旭川市総合政策部広報広聴課広聴係

〒070-8525 旭川市7条通9丁目 総合庁舎6階
電話番号: 0166-25-9100
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