第10回新型コロナウイルス対策緊急まちづくり対話集会開催内容
第10回「新型コロナウイルス対策緊急まちづくり対話集会」は、新型コロナウイルスを乗り越えるために市民と行政がそれぞれの立場で何ができるのかをテーマとして、北海道理容生活衛生同業組合旭川支部、北海道美容業生活衛生同業組合旭川支部の皆さんと意見交換を行いました。
日時など
日時
令和2年7月20日(月曜日) 午後4時から午後4時30分まで
場所
旭川市第二庁舎3階問診指導室
(旭川市7条通10丁目)
出席者
- 旭川市長 西川将人
- 北海道理容生活衛生同業組合旭川支部、北海道美容業生活衛生同業組合旭川支部
(団体の出席者5人)
対話の内容
市長あいさつ
皆さんこんにちは。本日は、直前の時間帯に保健所での講習会があったと伺っています。そちらから続けてという方も多いかと思いますが、お疲れのところ新型コロナウイルス対策緊急まちづくり対話集会ということで、お時間を取っていただきありがとうございます。また、理容組合、美容組合の皆様方には、日頃から地域の皆さんの公衆衛生の向上をはじめ、大変お世話になっていますことをこの場をお借りして感謝申し上げます。旭川におきましては、最初の感染者が出たのが2月22日でした。それからポツポツと感染者が出て、4月17日を最後にそれ以降約3か月、今のところ新しい感染者が出ていないという状況であります。これも本当に、各界、市民の皆さん、理容美容の皆さんももちろんですが、感染対策にしっかり取り組んできていただいているおかげと、本当に感謝をするところです。一方で、この間本当に、自粛、また、人との接触を避けるという中で理容業界、美容業界の皆さんも色々な影響を受けてこられたかと思います。本日は、業界の声を聞かせていただきたいということで、30分という短い時間ですが、有意義な時間を共有することができればと思っています。これからも、引き続きこの感染防止対策はとり続けていかなければなりませんし、それと同時に大変厳しくなった地域の経済、社会状況を一日も早く以前の状況にと回復していくということも同時に進めていかなければなりません。旭川は今は感染者が出ていませんが、東京、首都圏、大都市、道内では札幌圏中心にまだ感染拡大が続いていますので、気を抜くことはできません。そういった視点から、本日は皆さんにお話を聞かせていただければと思っています。どうぞよろしくお願いします。
意見交換
(参加者)
先ほど保健所が中心になって、新型コロナウイルスの感染対策、経済支援についての講習会を開いてもらったことはありがたい。内容を組合員に伝えることで、組合に入っていて良かったと思ってもらえるよう取り組んでいきたい。
新型コロナウイルス感染症の影響で、消毒用アルコールやマスクなどが高騰し、余分な経費が掛かった。組合員には先ほどの講習会で説明があった支援事業の3万円の支援金の申請を促していこうとは思うが、普段よりはるかに経費がかさむ中、それとは別に市から助成していただけると本当に助かる。これは組合員の総意としてお願いしたい。
衛生管理については、全国理容生活衛生同業組合連合会、北海道理容生活衛生同業組合、そして保健所からも御指導いただき、一生懸命取り組んでいる。
美容組合、理容組合は衛生管理にしっかり取り組んでいるということを、市から広報していただけるとありがたい。
保健所からの指導のほか毎年の衛生講習でもしっかりと指導を受けている。我々の業界から感染者を出さないように、みんなで声をかけ合いながら取り組んでいるので、何らかの機会に広報してもらいたい。
(市長)
店舗が安全ですよということで、ステッカーの交付とともに3万円を支給させていただく制度なので、是非皆さんに活用していただきたいと思います。組合の皆さんにもPRしていただきたいです。
色々な支援について、引き続き、市の緊急対策の中で検討させていただきたいと思います。
(参加者)
新型コロナウイルス感染症が拡大している中、マスク着用や手指消毒はしないよりした方が良いが、どれだけ効果があるのか分からない。ウイルスが目に見えないため、我々のお客さんを含め旭川の人たちがすごく不安になっていると思う。
市がホームページや広報誌で情報を発信していることは知っているが、若い人たちの中には見ない人も多い中、旭川市のことを、市民をバックアップしてくれるまち、住んでいて安心なまちと思える人がどれだけいるのだろうと考える。
市が色々と取り組んでいただいていることも分かってはいるが、その取組も含めて、自分たちが市の取組を実感できるように分かりやすく情報発信してもらえると、若い人たちが旭川から少なくなっている問題なども解消でき、結果として自分たちの業界にも良い形で返ってきたら良いと考えている。
(市長)
今回の新型コロナウイルスのことを通して、旭川は安心安全なまちだということを、特に若い人たちにお伝えするというのは、行政として大事なことだと思います。
(参加者)
せっかく、旭川はあまり感染者が出ていないので、そういう時にこそ、もっと全面的に安全だと打ち出して情報発信してもらえると、皆さんの不安を拭うことができ、旭川は安全な街だということを分かってもらえるのではないかと思っている。
(市長)
行政としてはコロナ以外にも伝えなければならないことがたくさんあるので、色々と工夫しながら、どうしたら皆さんに上手に伝えられるか考えたいと思います。
(参加者)
美容業界に限ったことではないが、旭川はそんなに景気のいい話はもとから聞かない中で、ギリギリで商売を営まれている方が大半なのではないかと思う。
例えば、前年は採算がとれるギリギリだったとして、今年は売上げが2割くらい落ちたとなったら結構痛手で、それが続くだけでも事業継続が難しいというような状態になると思う。
その中で、国の支援策の要件が、事業収入が50%以上減少や3か月の売上げが30%減少と結構厳しいと思っている。おそらく美容業界ではほとんどが当てはまらないのではないかと思う。要件には当てはまらないが厳しいという話が多い。
それまでの経営の問題という考え方もあるが、それでもギリギリでなんとか商売してきた所がある中、このままいくと20%や30%の売上げダウンで倒産する所が増えるのではないかと思っている。
そのようなことを考えると、国とは別に旭川市独自の倒産を防ぐ案があればすごく助かると思う。
これも美容業界だけの話ではないが、新卒者の就職の問題がある。来年卒業する子のほか、今年卒業した子でも就職の内定が取消しになった子が何人かいたという話を聞いている。
雇う側としては先が見えないというリスクがある。新人を入れるということは、ビジネスとして人を増やす面もあるが、我々の仕事は技術を直に伝えて継承していくという側面もある。
市内に美容室は700店ぐらいあるが、1人か2人を雇用している店が多い。新人を雇って文化を継承していこうと人材を育てている店はごく少数である中、そのような店が現状での新人の採用は難しいと判断した場合、学生が卒業後に学ぶべき場が失われることになる。
新人を積極的に採用し、育成に取り組む店には支援をするということも考えていただければうれしい。
我々も勤務終了後に残って新人の練習を見ることになるので、育てていく上では、結構指導する方が大変ということもある。
大変なので新人は雇わないという店も多いが、そうなると理美容という文化が若い子に継承されていかない。
年々理美容の学生も減っており、業種に魅力をあまり感じられないという中で、私の店では新人に対して、大変だろうけど頑張っていこうという考えのもと、週休を3日とするなどの仕組みを作って、すぐに辞めないようにしっかり育てていこうと取り組んでいるが、休みの分の人を確保しなければならなくその分の経費も掛かる。
全国の美容師の1年離職率が90%である。それは業界が良くないブラックな状況が今の若い子には合わないと考え、雇用者として労働条件はなるべく寄り添い、その代わりに技術は厳しく教えるというように、お互いが歩み寄っていこうとしている。
しかし、この状況だと来年の採用は厳しいと考えてしまうので、少しでも手助けをしていただければありがたいと思う。
(市長)
ギリギリのところで経営してきている中で、2割でも3割でも売上げが減るということは非常に大きいものだと思います。
市の財政でどこまでできるかという限界もありますが、色々と検討しています。
理容店、美容店でも使えるプレミアム付商品券を発売しようと準備しています。10月にはまちに出回ってくると思いますので、それが消費刺激につながっていってほしいと思っています。
人の育成、学生の採用においても厳しい状況だと思いますので、どうしたら支援していけるかを考えていかなければならないと思います。
(参加者)
美容組合で組合員向けに取り組んでいることを紹介したいと思う。
全国の美容組合から出ている雑誌が、全組合員に配布されており、この中で、新型コロナウイルス対策の事例を紹介している。
北海道の組合からは、各店舗でどれぐらいの衛生管理をしているかについて10項目のアンケートを組合員に対して行い、対策できている所にはその証となるステッカーを配っている。
11月に美容組合が行う衛生管理講習会の案内の中でも衛生管理の徹底を呼び掛けようと思っている。
先ほどの保健所の講習の中で話があった、3万円の支援金とステッカーについては、すごくありがたい話だと思っている。組合員に申請を促して、なるべく全軒支援を受けられるようにしたいと思っている。
美容組合の加入率が低く、市内に700軒くらいある美容室の中で、組合に入っているのは70数軒で10%余りであり、残りの600軒にはこのような情報がどこまで伝わっているのかということが一番不安なところである。
業界の中から新型コロナウイルスの感染者が出ることは大きなダメージとなるため一番恐れているが、組合に入っていない店舗がどこまで衛生管理できているのかが見えない。
先ほどの講習の内容が、組合員でない人までにどれだけ伝わるのかということを考えると相当不安に思う。美容室から感染者が出ると、その店が組合に入っていなかったとしても「美容室から感染者が出た」と伝わってしまう。
13業種の生活衛生同業組合は理由があって存在していると思うが、この組織に加わっている人はその辺の意識が高い人が多いと思う。組織に入っていない所の差別化と言うとおかしな話だが、組合に入っている所は、対策等にしっかり取り組んでいることを市でアピールしてくれるとすごく大きいと思う。
組合が衛生管理講習会を開催しても、700軒のうち70軒にしか伝えることができない。保健所や旭川市が主催してくれた方が組合員以外も集まりやすくなると思う。
組織に加わっていないことで情報が入ってこないなどの恐ろしさもあると思うので、市として何か対策をとっていただくと非常に助かる。
先月、岩見沢の美容室でクラスターが発生したという報道があった。お客様からは、報道を見て、美容室に行くことが怖くなったと言われた。
これは、美容室を営む方の夫が感染したことが発端で、外からウイルスが持ち込まれたということだが、美容室内で感染者が出たという伝わり方をした。
言葉のニュアンスによって伝わり方が異なり、それによって悪影響を受ける場合も出てくるので、情報は正しく伝えてもらいたい。
万が一、旭川市内で感染者が出た場合は、どのような経緯で感染したということを、しっかり伝えてほしい。
病院や高齢者施設への訪問理容、訪問美容について気になったことがある。
お客様が勤務する病院では、組合にも入っていない、訪問美容を商いとしている業者が出入りしているが、マスクを着用せず、手指の消毒も徹底されていなかったために、病院で勤務する方としては恐ろしかったと言っていた。
公的な団体として理容組合や美容組合があるわけだから、例えば、訪問美容師は組合から派遣してもらうなどの制度を市の主導で作ってもらえると、施設や病院としても安心できるのではないか。
入院患者への面会もできない中、衛生管理ができているか分からない美容師が病院内に入るということは、リスクも高く、そこで勤務する人たちはやはり不安だと思う。
新型コロナウイルスの感染が拡大している今だからこそ、一番敏感にならなければならないと思うので、どこの誰が訪問したか分かるような仕組みづくりをしてほしい。
理美容の学生の中には、本当に内定取消しになったり、採用されても3日間ぐらいで解雇された子がいる。雪の美術館に就職が決まっていた子も閉館により就職できなくなるなど、厳しい状況である。求人が例年に比べると出だしが遅く、来年の卒業生はますます厳しくなるのではないかと思っている。
新卒者を雇用することに対する市の支援があれば、どのような形であってもとても助かり、旭川で商売をしていて良かったと思える一つのきっかけになると思う。
(市長)
組合に入るか入らないかで、大分違ってくると思います。理容も美容もそうですが、今は様々な業種で組合加入率がどんどん下がっているので、組合に入ることのメリットをどう作り出していくかということが組織率の向上に非常に大事だと思います。私どもも保健所と一緒にどういうメリットを作り出して、皆さんに加入してもらうかということをまず考えていく必要があると思います。
報道について、行政としては正確な情報をしっかりと伝えなければなりませんが、報道のされ方はそれぞれだと思いますので、行政としてまずは正しく伝えていきたいと思います。
訪問理美容については、本来であれば個々の病院でしっかり対策をとってもらえれば良いと思いますが、そうではない医療機関・施設も中にはあるということで、市でも、まずは個々の施設でしっかり対策をとっていただく手法などを考えていきたいと思います。
組合に入ることは良いことだということを感じてもらう意味では、市が何かをお願いする時は、なるべく組合を通してお願いするなどの機会を増やしていくことがメリットにつながっていくのではないかと思って聞いていました。
(参加者)
政策金融公庫などは、組合員以外の人が融資の相談に行くと、担当者が組合に入ることを勧めてくれる。そのおかげで、組合に入ってくれた人もいる。
保健所も行政の一部なので、あまり言えないかもしれないが、可能であれば組合への加入を勧めてもらえるとありがたいなと思います。
(市長)
おすすめするということは大事なことだと思います。
(参加者)
我々の業界は、売上げが落ちていた時期もありましたが、徐々に戻ってきている中、経費は水道代が30%位アップするなどの影響があった。ほかの小さな自治体だと多少なりともそのような部分に対する支援がある。
旭川市では難しいかもしれないが、国の補助金などは我々の業界ではほとんどの人が当たってないので、市としての何かしらの支援策があったらいいと思う。
新卒者に関する補助があればありがたい。以前ハローワークで支援策があったが、このような時期だからこそ、この1、2年間の支援が市の方でもあると良いと思う。
(市長)
商工会議所や旭川商工会とも情報交換しながら、例えば新卒者の採用をしてくれた企業に何かメリットを作れないかなどを含めて、相談したいと思います。
先日も商工会議所に行って、会頭に一人でも多くの若い人を採用してほしいというお願いをさせていただき、しっかり頑張りますというお話はいただいています。
一方では、企業側からすると、現状の社員、従業員をどう雇用していけるかという部分もあり、今の雇用すら守れないかもしれないという非常に厳しい状況だと思います。リストラしなければならないという所も実際にあるという話もあります。
本当にそこまで厳しい状況なのだということは私どもも感じておりますので、少しでもお手伝いできるように取り組んでいかなければならないと思います。
(参加者)
プレミアム付商品券について、商工会議所のものの販売が先行して開始された。当初は、購入できる上限が10冊までと決まっていたが、おそらく余ったためだと思うが、まだ買えるという案内が追って来た。
市のプレミアム付商品券も1世帯で買えるのが、1万円のものが5冊まで、2千5百円のものが6冊までとなっている。今さら変えられないだろうが、もっと買えるようにすべきではないのかと思っていた。
商工会議所でもこんなに余っているのであれば、市のものも、買える人は買えるように上限設定をもっと考えた方が良いのではないかと思う。
(市長)
前回のプレミアム付商品券販売時にあっという間に売れてしまい、それで買えない人がたくさんいたということがあった。
前回は世帯総出で手分けして買いに回った家庭が多かったということもあったが、今回は実際に発売してみないと分からないので、発売後、売行きが悪かったら、その都度考え直さなければならないと思っています。
(参加者)
プレミアム付商品券は、理容美容にも使っていただきたいと思う。
(参加者)
1万円と2千5百円のものは理容美容でも使えるということでよいか。
(市長)
理美容店でも使えるようになっています。商店街などに入っているお店で使えるものと、全店舗で使えるものがありますが、商店街に入っていればどちらも使えます。
エステサロンは今回休業要請がかかっていましたので、支援金給付の対象となっていますので、まだ申請していない所がありましたら、是非申請していただきたいと思います。
市長お礼のあいさつ
今日は短い時間でしたが、理容組合、美容組合の皆さんから新型コロナウイルスに関することのほか、業界全体としてのお話なども聞かせていただくことができました。
地域の公衆衛生をしっかり守っていくことは、市にとっても大変重要な役割ですから、業界の皆さんにこれからもしっかり安心してこの旭川でお仕事をしていただくために、取り組まなければならないことが多々あると思います。今日伺ったお話も是非参考にさせていただいて、取り組んでいきたいと思っています。
これからも是非業界の声として、新型コロナウイルスのことに限らず市の方に御意見をお寄せいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。