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ゴマフアザラシの「カムイ」が母親に

 この春の開園準備は、例年以上に雪割り作業が大変でした。さて、4月にとても嬉しいことがありました。ゴマフアザラシのカムイが出産し、子育ても順調にできたのです。

 カムイは子供の頃に釧路市動物園に保護され、ぺんぎん館がオープンした平成12年、旭山にやって来ました。旭山では、他のアザラシとは別にして、ペンギンと一緒に飼育することにしました。

 ところが、オープンの数日前にぺんぎん館に引っ越しをさせたところ、人への警戒心が強く神経質になり、飼育係の手をかじったり、ペンギンを追い回したりしたので、結局アザラシ舎に移しました。

 カムイは過去にもう3回出産していますが、最初の子は出産当日に溺死、2回目は育児放棄、3回目は死産でした。カムイ自身が母親とはぐれて保護されたことや、ペンギンと一緒に育てるために無理をさせたことが原因ではないかと感じていました。

 今回の出産は夜中だったのですが、翌朝になってもカムイが育児をする気配はありません。しかし、担当者は人工保育ではなく、母親に任せようと決断しました。この担当者はアザラシの母親代わりを務め、7年間に4頭の人工保育を成功させた経験があったのです。

 この経験を基に体力や乳を飲むタイミングなどを考えて、子をカムイのそばに動かすと、子が乳を飲みたくて乳首を探す行動と、カムイが気を許すタイミングがまさに重なり、乳を吸われたことで母性が目覚め、母と子の関係が築かれました。カムイが母親になれたのは、担当者の粘りのおかげです。

 ぺんぎん館ができ、良くも悪くも一大ブームをひたすら走り続けてきた中で、とても大切なものを置き忘れたような後悔があり、カムイのことが気がかりでした。カムイが母親になったことで、自分の中でも一つの区切りになった気がしています。

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こうほう旭川市民5月号