旭山にゅーす・ぶろぐ

【しいくのぶろぐ】一覧

このページでは「しいくのぶろぐ」の記事のみを掲載しています。

「しいくのぶろぐ」飼育展示スタッフによる日々の出来事や想いなどを綴ったブログです。

2018年7月のしいくのぶろぐの記事

 マヌルネコの近況

 マヌルネコの「グルーシャ」が埼玉県こども動物自然公園からやってきて10日か経ちました。

 その間のグルーシャの様子についてお伝えします。

 まず、グルーシャを導入して大事なのは旭山の環境、飼育の方法に慣れてもらうことでした。

 特に、埼玉では出入りのない室内1部屋で(飼育係が掃除や餌のために出入りする)、兄弟と飼育されていました。

 ですので、今回は一人暮らしと外との出入りがある飼育方法に慣れてもらう必要があります。

 到着してすぐは、できるだけ静かにして餌を与えるだけにします。

 グルーシャはすぐに餌は食べませんでしたが、次の日の朝にはきれいになくなっているので、夜こっそり食べているようでした。

 まずは、食欲が安定することが大事なので一安心です。

 5日目からは餌の回数を分けて与えます。

 人(飼育担当者)が来ると餌が出てくるということを覚えてもらい、人に対しての警戒心を下げることが目的です。

 だんだんと餌を置く→食べるの時間が短くなり、こちらを見る目つきも穏やかになってきた気がしました。

 8日目には餌を置いたら、すぐに目の前で食べるようになりました。

 また、檻越しに手渡しで餌を与えても食べてもくれました。とりあえず手渡しで食べる必要はないのですが、人⇔餌(いいもの)と結びつくことで人への警戒心がさらにさがり、今後体重測定などのトレーニングを行うときにも役立つので、その後も毎日少しずつ与えています。

 9日目には餌を隣の部屋(グルーシャの寝室は3部屋をつなげた形になっていて、それぞれの部屋の間にワイヤーで操作できる扉があります)に餌を置き、餌を食べるために移動したときに扉を閉めることができました。

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部屋をうろうろするグルーシャ、暗いのでぶれぶれです

 これが出来ると、旭山での部屋を移動する飼育方法にとりあえずは合格ということになり、屋内外の出入りも出来る目処がたちます。

 このような経過をたどり、7月29日、11日目にはじめて屋外との扉を開放することになりました。

 すぐには出ないかもしれませんが、グルーシャの気分で少しずつ外の環境にも慣れていってくれればと思っています。

と、思っていたら

 気がついたらグルーシャが室内のどこにもいません!

 もしやと思って外を見てみると

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屋外の高いところでくつろぐグルーシャ

 あっさりと屋外に出ていました。

 その後、30分ほどで室内に無事もどってきてくれました。

 この調子で旭山に慣れていってくれると思います。

※今後は基本的には屋外と屋内の出入り自由の展示としていきます。

※マヌルネコは暑さに弱いので、完全に屋外に慣れても夏の間はこの状態となりますので、来園されても見ることができるかはグルーシャ次第となります。

(獣医師・小獣舎担当:中村 亮平)

レッサーパンダの出産物語(1)

「しいくにゅーす」でお知らせしたとおり、レッサーパンダの「渝渝(ユーユー)」が7月11日に出産しました。これで4年連続の出産となりますが、今年はその出産に至るまでの経緯をお伝えしたいと思います

 レッサーパンダは通常6月から7月の初夏の時期に出産します。そして交尾はその4ヶ月ほど前の2月から3月くらいに行われるのが一般的です。

 旭山のチャーミンと渝渝ペアは今までも6月下旬から7月上旬に出産しているので交尾は3月上旬あたりと思われるのですが、最初の2回の出産時には交尾を確認することは出来ませんでした。

 確認できなかった理由として、数日にかけて何回も交尾が続き、その前後の行動の変化がわかりやすいペア(雌から雄への追尾行動など)と一日だけ短時間の交尾で終わり、行動の変化もあまりないペアがいるためです。残念ながら旭山のペアは後者の確認しづらいペアでした。

 そこで2017年シーズンは簡易的なカメラを設置して、交尾を初めて確認することができました。

 そして2018年シーズンはより万全な体勢でのぞむこととなりました。

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赤いマルで囲んだところにカメラがあります。


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看板の陰のこんなところにもカメラが…


 合計3台のカメラを設置し、屋外のどこにいても交尾を見逃しません。

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小獣舎のバックヤードでカメラのチェックをしてました。

 そして例年よりちょっと遅い2月中旬から同居を開始して、交尾の時を待ちました。

 すると3月8日と18日の2回、交尾が行われました。

 レッサーパンダの交尾の動画はコチラ → www.youtube.com/watch(新しいウインドウが開きます)

 動画で見ると、意外と長いじっくりとした交尾でした。

 しかし、交尾以外の時間はお互い離れて、いつも通りの行動ですので、もし生で見ることが出来た方がいたら、かなりラッキーだったかもしれません。

 さて、長くなってしまうので、レッサー出産物語は今日はこの辺で

 次回は「診断→いよいよ出産直前!!」予定です。


 ちなみに、今回紹介した監視カメラは北大との共同研究で申請した野生動物保護基金の助成金によって購入しました。

みなさんも動物園内で見たことがあるかもしれないペンギンの募金箱が野生動物保護基金です。

旭山の中のどこにあるのか探してみて下さい。

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ペンギンの募金箱(ちなみにペンギン館にはありませんよ)

(獣医師・小獣舎担当 中村 亮平)

【とわとみらいのミライトワ】


 東京オリンピック公式マスコットの名前が「ミライトワ」に決まったそうですね。
 このニュースが報じられた直後に某・スポーツ新聞さんから動物園に電話取材があり、
「マスコットがミライトワに決まりましたが、旭山動物園にはアムールヒョウのとわとみらいがいるそうですね。担当者としてどんなお気持ちですか?」
と質問を受けました。(いろんな取材がありますね~)

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<とわ(左) と みらい(右)。りりしいヒョウ情に成長しました。>

(※誤表記修正しました)

 どんな気持ちと言われましても(笑)ちょっととまどいましたが、動物園もオリンピックも相乗効果で盛り上がったらいいかな?と考え
「うれしいです!」
とお答えさせていただきました。

 とわとみらいの名前は一般公募で命名していただきました。オリンピックのマスコットにも似た名前が付けられたということは、あらためて「命名者さんのセンスが良い」と証明された、ということかもしれませんね!。
 昨年の、とわみらい命名式のようすはコチラ↓

www.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/news-blog/breeding-news/d058405.html(新しいウインドウが開きます)


 東京オリンピックでたくさんの外国人の方が来日したら、動物園など日本の文化にも触れていただきたいですね。

 もうすぐ満1才。とわとみらいにとって、2年後の未来とはどうなっていることでしょうか?

(もうじゅう館担当:大西 敏文)

2018年7月25日 しいくのぶろぐ

クママド

クママド

 この時期、マリンエリアのスタッフはちょっと忙しくなります。
 ※マリンエリアとは…ほっきょくぐま館、あざらし館、ぺんぎん館です。
 それは、ほっきょくぐま館の窓拭き、ぺんぎん館プールとあざらし館プールの水を全部抜く掃除があるからです。

 その第一弾は、ほっきょくぐま館の窓拭きでした。みなさんがもぐもぐタイムで見ている大きな窓です。ホッキョクグマがいては、もちろん掃除はできません。なので、ホッキョクグマ収容後、スタッフはドライスーツを着用し脚立に登ったり、プカプカ浮きながら、汚れをゴシゴシと拭いていきます。乾いてしまった魚のウロコは強敵で、なかなかとれません。

 今回は1時間程ですべての窓はピカピカになります。次はぺんぎん館プール?あざらし館プールかな??

クママドぴかぴか

クママドピカピカ

あざらし館担当:杉村尚美

【イワトビペンギンの子育て動画をアップしました!】

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 イワトビペンギンの親鳥がヒナに給餌する動画を、Youtubeの旭山動物園公式ページにアップしました。

 担当者・佐藤くんの解説テロップ付きです。英語版もありますのでぜひご覧ください!

動画はコチラ

イワトビペンギンの親鳥からヒナへの給餌 www.youtube.com/watch(新しいウインドウが開きます)

英語版はコチラ

Rockhopper Penguin Feeding for a chick  www.youtube.com/watch(新しいウインドウが開きます)

(動画編集:獣医師・ぺんぎん館担当 佐藤 伸高)

モユク☆カムイ99号が完成しました!!

表紙のマヌルネコ
今回の表紙はマヌルネコ

 「モユク☆カムイ99号」が完成しました!!

 今回の表紙は、今年7月に来園した「マヌルネコ」です!

 モユク☆カムイは、飼育展示スタッフ手作りの情報誌です。日々、変化していく動物たちの様子や動物園のできごとなど、現場のスタッフだからこそ知ることのできる情報が盛りだくさん。

 動物園に遊びに来た際には、ぜひ手にとってみてください!

 モユクカムイ99号へのリンクはこちら

もくじ

1・ぼくは動物大使  ネコじゃないよマヌルネコ

2・特集       新かぴばら館・新フラミンゴ舎徹底解剖!

3・飼育研究レポート シマフクロウの繁殖について

4・夏の思い出    獣医実習生がやってきていました

5・新人紹介     飼育員になり半年経ちました

6・主なできごと   編集後記・飼育動物数

入手方法

 モユク☆カムイは、動物園東門管理事務所、園内サポートセンタ-、動物図書館で入手することが出来ます。また、郵送での取扱いも行っています。詳しくは旭山動物園までお問い合わせください。

 モユクカムイについての詳細はこちら

モユク☆カムイ98号が完成しました!!

表紙のハヤブサ
今回の表紙はハヤブサ

 「モユク☆カムイ98号」が完成しました!!

 今回の表紙は、今年4月に来園した「ハヤブサ」です!

 モユク☆カムイは、飼育展示スタッフ手作りの情報誌です。日々、変化していく動物たちの様子や動物園のできごとなど、現場のスタッフだからこそ知ることのできる情報が盛りだくさん。

 動物園に遊びに来た際には、ぜひ手にとってみてください!

 モユクカムイ98号へのリンクはこちら

もくじ

1・ぼくは動物大使  最速ハンター ハヤブサ

2・特集       みんなだいすき!うんちのお話!

3・飼育研究レポート カバの百吉と旭子の成長と今後の展望

4・こども牧場からのお手紙 新たなスタート

5・主なできごと   編集後記・飼育動物数

入手方法

 モユク☆カムイは、動物園東門管理事務所、園内サポートセンタ-、動物図書館で入手することが出来ます。また、郵送での取扱いも行っています。詳しくは旭山動物園までお問い合わせください。

 モユクカムイについての詳細はこちら

アオイのこと

 シンリンオオカミのアオイが旭山に来て約1ヶ月経ちました。

 今回の移動に関して、「なぜ?」「旭山?」と思われた方もいるでしょう。

 アオイは10歳。もう高齢の域に入ります。

アオイ

アオイ同居前

 現在、国内のシンリンオオカミは大きく分けると2つの系統(血統)があります。

 というか2つしかないのです。

 そんな中、アオイは国内の他の個体とは血縁がありません。

 オオカミはペア・群れの絆が強く、一度群れができるとペアの組み替えを行うことは難しい動物です。

 血統だけを見てペア形成を考えるならば、新しい血統を作ることは可能ですが、現実的ではないのです。

 旭山で飼育しているヌプリ(オス)は2016年に群れから分けて以降、搬出先を探していましたが、なかなか声がかかりませんでした。

 (群れから分けたのは年齢的・身体的にも成熟したヌプリと父親とのトラブルを未然に防ぐためです)

 その後、一緒に群れから分けた妹たちがいなくなり、1頭になってしまいました。

 今後どう飼育していくか考える中で、東山動植物園のオオカミ担当の方とお話しする機会があり、アオイが長く1頭で暮らしていること、現時点でペアを組む予定はないことを伺いました。

 群れで長く暮らし、いろいろな経験もあり、性格が穏やかなヌプリなら、アオイと一緒に暮らせるのではないかと考 え、両園で協議し、今回の移動を実現することになりました。

 年齢的にも繁殖のチャンスは1~2回かと考えています。

 繁殖できなかったとしても、それぞれ1頭で暮らすよりも、2頭で暮らせるほうがかれらにとって良いことなのではと思っています。

 (もちろん、相性が悪くなければ、ですが)

 現在は短時間の同居から始め、徐々に時間を長くしています。

 開始時からお互いをしつこく気にすることもなく、むしろ1頭ずつでいるときよりもそれぞれが落ち着いて過ごしているようにも見えます。

 終日同居を目指し、経過観察を続けていきます。

 非公開施設での飼育のため、皆さんにはご覧いただけませんが、時々ブログで状況をお伝えできればと思っています。

同居

くつろぐアオイと横を通り過ぎるヌプリ

オオカミの森・北海道産動物舎担当:佐藤和加子

イワトビペンギンのヒナはいま

 6月7日にふ化したイワトビペンギンですが、すくすくと成長しております。飼育担当としてはホッとしているところです。しかし、ここでひとつ問題があります。

 イワトビペンギンの巣は室内展示場の奥の高い位置にあるのですが、イワトビペンギンのヒナが下に落ちてしまうことがあるのです。もちろんこれはヒナが立派に成長している証拠なのですが、まだまだ成長段階にあるヒナは下にいるキングペンギンなどに攻撃されてしまうことがあります。このため、危険防止のため夜間はイワトビペンギンのヒナと両親を隔離しています。

イワトビヒナ

写真1:すくすくと成長しているヒナ

ぺんぎん館屋内

図1:山から落ちると危険がいっぱい

 また日中も、スタッフが長い時間ぺんぎん館から離れる際には、ヒナを隔離することがあります。すくすくと成長しているヒナの姿を多くの方にご覧頂きたいのですが、危険防止のため館内から見えない時間ができてしまうことご了承ください。

ぺんぎん館担当・獣医師:佐藤伸高

【どこにすんでいるのかな】

 みなさん「兵庫県」「イタリア」「マダガスカル」それぞれどこにあるかわかりますか?

 さすがに兵庫県はわかると思いますが、海外になると「あのあたりかな」という風になってくると思います。

 そのいろんな国の中でいろんな動物がいますが、動物園に来て「あの動物はあの国にすんでいる」とわかる人は少ないと思います。

 たとえばこのペンギンどこにすんでいるかわかりますか?

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 このペンギンはフンボルトペンギンという名前でフンボルト海流沿岸にすんでいます。

・・・ですが、多くの方は「フンボルトどこなの?」となってしまうのではないかと思います。

 そこで、みなさんの好きな動物でかまいません。

 どこにすんでいるか調べたり、その国がどんなところでどこにあるのか知ってみたりすると、意外とおもしろいかもしれないです。

 是非みなさんの好きな国にはどんな動物がいるのか?あの動物はどこにいるのか?

 興味を持って見てはいかがでしょうか。

(ぺんぎん館担当:畑野 和輝)

スズメ祭り

 北海道産動物舎で今年もスズメが巣立ちました!

 体の大きさはほぼ大人と同じですが、色が薄く、ほほの黒い点がないのが特徴です。

 まだヒナ同士で一緒にいることが多く、親がエサをくわえてくるとヒナたちは口をあけてねだっています。

 スズメは身近な野鳥ですが、子育ての様子を近くで見られるのは動物園ならでは。

 ぜひぜひ見に来てくださいね!

スズメ1

どれがヒナでしょう?

スズメ2

エサをもらうヒナ(右)

北海道産動物舎・オオカミの森担当:佐藤和加子