獣医のおしごと 麻酔編

最終更新日 2022年11月11日

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獣医のおしごと 麻酔編

 動物園の獣医には様々なおしごとがあります。その中でも今回は麻酔についてお話ししたいと思います。皆さんは麻酔と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?もしかすると、麻酔の注射を刺したら、すぐにバタッと倒れてグーグー寝始める。と思う方も多いと思います。でも実際はちょっと違います。

 先日ホッキョクグマのホクトを搬出するために麻酔をかけたので、それを例に説明すると、まずはじめに吹き矢で麻酔その(1)を刺します。ホクトの体重は400kgだろうと推測したのですが(実際は386kgでした)、麻酔(1)の量は13mlもあります。15分くらい経つと、立っているけどボーっとしてる様子になりました。そこからさらに10分経つとうつ伏せで寝ている様子になりました。ここでさらに麻酔(2)を24ml注射して深い麻酔状態にします。そこからさらに5分経つとかなり深く麻酔がかかりここでやっとホクトと同じ部屋に入ることができます。麻酔中は獣医がつきっきりで呼吸、心拍数などの状況をチェックします。今回の麻酔は問題なくスムーズに寝てスムーズに起きたので、ホッとしています。

 皆さんの中には吹き矢は痛いからかわいそうとか、麻酔自体がかわいそうと思う方がいらっしゃるかもしれません。しかし、動物の移動をするとき、検査をするとき、手術をするとき、様々な場面で安定した麻酔が必要になります。麻酔をしている所は中々見ることは無いかと思いますが、獣医の大事な仕事の一つです。

写真1

麻酔の薬が入った吹き矢がホクトの右太ももに刺さっています。

写真2

麻酔中のホクト

写真3

麻酔から醒めたホクト

獣医師・くもざる・かぴばら館担当:佐藤伸高