年老いたサル

最終更新日 2019年9月1日

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年老いたサル

 今年の四月からサル山を担当している高橋です。

 実は以前にもサル山を担当していたことがありまして、ここの担当になるのは17~8年振りです。


 以前と大きく変わった点と言えば、サルとイノシシの共生展示ですが、今回はその話では無く、自分が今ひいき目に観ている1頭のサルのことです。

 そのサルは自分が初めて担当したときから目立っていた個体で、名前は「シロザル」。

 白い毛並みは優雅に映え、メスの中では飛び抜けて気合いの入った個体でしたので、体の大きなオスに対しても飛びかかっていくほどでした。サルのエリートってこんな感じなんだろうなと思った個体でした。


 その個体が今でもサル山にいます。もう御年31歳。サルの平均寿命は野生化で25歳くらい、飼育下では30歳くらいです。数年前には体に麻痺が残るような大病もして、少しの段差すら上るのが辛そうなときもありました。今は少し良くなりましたが、それでも俊敏さは他のサルたちの半分以下です。餌を採るのも遅いです。ですが、他の大人のサルたちはシロザルの目の前の餌を採ることはあまりしません。なぜなら以前のシロザルの強さを覚えているからです。ただ、2~3歳の子ザル達は平気でシロザルの背中にに飛び乗っていきます。シロザルも一応は怒るのですが動きが遅すぎて子ザルに遊ばれている感じに見えてしまいます。それが可笑しくも哀しく思えるのです。


 これから秋になり、冬がやってきます。サルたちにとって厳しい季節となるため、秋のうちにいっぱい食べて体に栄養を蓄える時期なのですが、シロザルは高齢のためか、なかなか体重が増えません。どうにか今期の冬も乗り越えてほしいという想いから、シロザルにだけ手渡しで、バナナなどの消化が良く、カロリーの高い物を与えています。


 久々にサル山を担当し、思い出の強い個体に会えた気がします。これからどれだけの年月、シロザルの姿を観られるのか判りませんが、健やかに過ごせるよう努力したいと思います。

シロザル

さる山・タンチョウ担当:高橋伸広