【オランウータン兄妹の同居展示】

最終更新日 2019年6月11日

ページID 066760

印刷

【オランウータン兄妹の同居展示】

 オランウータンは単独性の強い動物で6~9歳頃まで母親と暮らし、その後母親の元を離れて単独で暮らすようになります。

 そのため旭山動物園では父親のジャック、お兄ちゃんの森人(モリト、11歳)、そして母親のリアンと娘の森花(モカ、4歳)の3つのグループに分けて飼育してきました。

 しかし、今年の3月にリアンがくも膜下出血で急死してしまい、森花は1頭になってしまいました。

 ひとり立ちするには2年ほど早いのですが、リアンが亡くなった後も森花の様子はわりと落ち着いていたため様子を見ながらそのまま単独飼育をすることにしました。

 単独飼育中も健康状態は良く、そのまま2ヶ月が経過したが、その頃スタッフの中で「森人に預けるのはどうだろう」という話になりました。

 森花は雌なので母親と暮らした時間が後の子育ての仕方に大きな影響を与えます。それが2年短くなれば、育児放棄等になる可能性が高くなると考えられます。森人は母親代わりにはならないかもしれないけど、森花の精神的な支えになってくれることを期待して5月20日に試験的に兄妹での同居を行いました。

1

 森人は穏やかな性格の個体とはいえ身体はおとなに近づき大きくなってきました。何かあったときのために万全の体制で同居を行いましたが、いざ一緒にしてみると兄妹で寄り添ったり、森人が森花を抱き寄せたりと森人がしっかりと面倒を見てくれていました。

 何より森花がすごく嬉しそうにしていました。

 リアンが亡くなってからもそこまで落ち込む様子もなく変わりなく過ごしているように見えましたが、嬉しそうに森人と遊ぶ森花の姿を見ると、「やはり寂しかったんだな」「どこかで我慢をしていたんだな」と感じさせられ、何とも言えない気持ちになりました。

 兄妹だけで暮らすことは野生のオランウータンの生活とは違い少し不自然ではありますが、森花のために今後も同居を継続することにしました。

 いつかこの森人との同居の経験が森花の子育てに活かされることを願っています。

(おらんうーたん舎 オオカミの森担当:佐橋 智弘)