マヌルネコの近況
マヌルネコの「グルーシャ」が埼玉県こども動物自然公園からやってきて10日か経ちました。
その間のグルーシャの様子についてお伝えします。
まず、グルーシャを導入して大事なのは旭山の環境、飼育の方法に慣れてもらうことでした。
特に、埼玉では出入りのない室内1部屋で(飼育係が掃除や餌のために出入りする)、兄弟と飼育されていました。
ですので、今回は一人暮らしと外との出入りがある飼育方法に慣れてもらう必要があります。
到着してすぐは、できるだけ静かにして餌を与えるだけにします。
グルーシャはすぐに餌は食べませんでしたが、次の日の朝にはきれいになくなっているので、夜こっそり食べているようでした。
まずは、食欲が安定することが大事なので一安心です。
5日目からは餌の回数を分けて与えます。
人(飼育担当者)が来ると餌が出てくるということを覚えてもらい、人に対しての警戒心を下げることが目的です。
だんだんと餌を置く→食べるの時間が短くなり、こちらを見る目つきも穏やかになってきた気がしました。
8日目には餌を置いたら、すぐに目の前で食べるようになりました。
また、檻越しに手渡しで餌を与えても食べてもくれました。とりあえず手渡しで食べる必要はないのですが、人⇔餌(いいもの)と結びつくことで人への警戒心がさらにさがり、今後体重測定などのトレーニングを行うときにも役立つので、その後も毎日少しずつ与えています。
9日目には餌を隣の部屋(グルーシャの寝室は3部屋をつなげた形になっていて、それぞれの部屋の間にワイヤーで操作できる扉があります)に餌を置き、餌を食べるために移動したときに扉を閉めることができました。
部屋をうろうろするグルーシャ、暗いのでぶれぶれです
これが出来ると、旭山での部屋を移動する飼育方法にとりあえずは合格ということになり、屋内外の出入りも出来る目処がたちます。
このような経過をたどり、7月29日、11日目にはじめて屋外との扉を開放することになりました。
すぐには出ないかもしれませんが、グルーシャの気分で少しずつ外の環境にも慣れていってくれればと思っています。
…
…
と、思っていたら
気がついたらグルーシャが室内のどこにもいません!
もしやと思って外を見てみると
屋外の高いところでくつろぐグルーシャ
あっさりと屋外に出ていました。
その後、30分ほどで室内に無事もどってきてくれました。
この調子で旭山に慣れていってくれると思います。
※今後は基本的には屋外と屋内の出入り自由の展示としていきます。
※マヌルネコは暑さに弱いので、完全に屋外に慣れても夏の間はこの状態となりますので、来園されても見ることができるかはグルーシャ次第となります。
(獣医師・小獣舎担当:中村 亮平)