さようなら診療車2号
先日、動物園の2代目診療車が引退しました。この車は平成12年に納車されているので、動物園で17年間働いたことになります。今回は診療車の思い出についてお話ししようかと思います。
診療車の一番多い仕事は園内での移動です。荷物が少なければ歩いて行くのですが、大きな動物(トラなど)を麻酔するときにはたくさんの道具を持っていく必要があるので診療車が活躍します。
また、治療の時にどうしても動物病院に運んで検査や手術をしたいときは診療車に動物を載せて運んできます。僕が知っている限りシンリンオオカミ、クロヒョウ、アムールヒョウ、オランウータンを運んできています。もちろん全て麻酔をかけて眠っている状態です。が、もし車の中で麻酔が覚めてしまえば非常に危険ですので現場はまさに真剣そのもの、緊張感みなぎるものです。
そのほかにも診療車に動物を載せて他の動物園に搬出したり搬入したり、空港に受け取りに行ったこともあります。思い出に残っているのは釧路市動物園に「シマフクロウ」を受け取りにいったことです。後部座席にシマフクロウという希少動物が載っているという非現実的な興奮と緊張の中、釧路から旭川までの5時間(冬だったのでけっこう吹雪いた)を運転して帰ってきました。そうそう、キングペンギンを旭川空港に迎えに行ったときは暑いのが苦手なキングペンギンのために、真冬なのにクーラーをガンガンつけて行ったのでものすごく寒かったです。
診療車2号はこのあと廃車になるわけでは無く、市役所の別の部署での仕事が待っています。もしかしたらまた会える日も来るかもしれません。その日までさようなら、診療車2号。
ボンネットのウサギちゃん。包帯をもっているけど自分の体が満身創痍。自己犠牲の精神です。
サイドにはトラとライオンの勇ましい姿が描かれています。
ぺんぎん館担当・獣医:佐藤伸高