ゲンちゃん日記・令和2年10月「イメージとは違うトナカイの生態」

最終更新日 2020年10月15日

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ゲンちゃん日記・令和2年10月
「イメージとは違うトナカイの生態」

デナリ

     (トナカイのデナリ)

 秋も深まり、初雪に備えを始める時期になってきました。10月下旬に湿ったドカ雪が降ることもあるから油断はできません。特に、ととりの村の天井を覆うネットにベタ雪が積もると、ネットが破ける事態になりかねません。ととりの村の水鳥やフラミンゴたちを建物に収容して、天井のネットを外します。越冬準備の始まりです。

 この手紙を書いているのは9月の4連休最終日。天候にも恵まれましたが、想定していなかったほど多くの来園者数でした。インバウンド(外国からの観光客)や団体がほとんどなく、今年は1万人を超える日はないだろうと思っていたので、うれしくもあり戸惑いもあった連休でした。
 さて、皆さんは何で秋の始まりを感じますか?私は、エゾシカとトナカイの雄の角が完成して「枯れ角」になることでしょうか。今年のトナカイのデナリの角の立派さ、大きさには目を奪われます。シカの仲間は春から秋にかけての角袋(生え替わった柔らかいこぶ状の角)の時期は、いわば草食系男子です。ところが、枯れ角になると凶暴な肉食系男子に豹変します。少々言い過ぎですが、デナリも一晩で豹変します。まるでジキルとハイドです(例えが古過ぎますかね)。角が触れる物には何にでも挑みかかり、筋トレに余念がありません。餌台は木っ端みじんに破壊されました。放飼場の木に向き合い、あたかも、お相撲さんが鉄砲稽古をしているようです。飼育係が近づいただけで、低いうなり声を上げながら頭を下げて向かってきます。秋だなと、しみじみ感じます。サンタさんのトナカイのイメージを壊すようですが、心配なく。クリスマスまでには雄の角は落ちてしまいます。トナカイには雌にも角があり、クリスマスの時期に角があるのは雌。もしくは去勢した雄です(シカの仲間では唯一、トナカイだけ雌にも角があります)。
 気が早いですが、楽しいクリスマスが迎えられますように。

令和2年10月15日 

旭山動物園 園長 坂東 元