ゲンちゃん日記・令和2年4月「夏期開園に向け全力で準備中です」

最終更新日 2020年4月27日

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ゲンちゃん日記・令和2年4月「夏期開園に向け全力で準備中です」

ワオキツネザルの親子

(写真:ワオキツネザルの親子)

 ほんの数か月前には予想だにしなかった事態になっています。そういえば今年は、高病原性鳥インフルエンザの発生がないなと思いながら、ふと空を見上げています。新型コロナウイルス感染症に関しては、とにかく毎日安全に開園を続けることに主眼をおいて対応しています。

 飼育員に感染者が出た場合、全員が濃厚接触者になってしまっては誰が動物たちの飼育をするのか。飼育員は、代わりがきかない業務としてはトップクラスではないかと思います。少なくとも、全員が濃厚接触者にならない環境を整え、緊張感を持って毎日を過ごしてい

ます。

 動物たちは、人の世界の出来事とは関わりなく今日この時を過ごしています。ユキヒョウやカバ、アムールトラの子は日々すくすくと成長し、旭山生まれのレッサーパンダの子たちは、各地の動物園に旅立って新たな生活を始めています。

 そんな中、リフォームが終わったサル舎で、ワオキツネザルの出産が続きました。ワオキツネザルは飼育頭数が多くなり、計画的に繁殖(バースコントロール)させる取組みを進行していました。まず双子が、次に1頭が誕生しました。まさか3頭も!と当惑するところですが、今回はなぜか素直にうれしくなりました。産まれた子は母親の胸にしがみつき、輪っかの縞模様の尻尾をヘビのように動かしています。後で産まれた1頭が、双子を産んだ母親にくっつき、3頭がひしめくように母親の胸にしがみついていました。後に産んだ母親の母乳の出が悪いのか、あるいは子育てに熱心になれないのかが原因のようでした。母親が奪い取ったのではなく、子が乗り移ったようです。生まれて10日ほどたちましたが、今のところ3頭は順調に成長しています。この手紙が届く頃は、閉園期間中。1年で一番忙しい時期を迎えているはずです。今年の夏期開園はどんな幕開けになるのか、とにかく前進思考で頑張ります!

令和2年3月15日 

旭山動物園 園長 坂東 元