ゲンちゃん日記・令和元年12月「来年はねずみ年、自らの生命力を高める年にしましょう」

最終更新日 2019年12月23日

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ゲンちゃん日記・令和元年12月「来年はねずみ年、自らの生命力を高める年にしましょう」

さる山

(写真:さる山)

 今年は初雪が遅いなと思っていたら、いきなりドカッときました。今年は冬季に向かい動物舎の工事が続きます。そのほとんどが屋外工事ですから雪は少なく寒さは緩い方が作業もしやすくていいのですが天候はこちらの都合に合わせてはくれませんね。園路や駐車場の除雪も慌ただしく始めました。駐車場は車で来園される方が一番先に利用する場所になるので開園前には除雪を終わらせなければいけません。冬期開園期間中は西門前付近の駐車場も無料で利用していただけますが、これは地主さんのご厚意により駐車場を無償で貸していただいているからです。冬期開園期間中も多くの来園者を迎えるようになったのでとてもありがたいことです。

  話は変わりますが園内で暮らしている動物で一番数が多い動物は何でしょう?実はおそらくドブネズミとクマネズミです。動物園に限らず人が生活している場所にはほぼ間違いなくいる動物です。夏場は日暮れ時になると園内を走る姿を見ることがあります。テナガザルやレッサーパンダのモート(堀)の中に落ちていることもあります。日中はほぼ気配を感じることはないのですがありとあらゆる生きる可能性を探っているのが彼らです。

 クマネズミは足がかりがある木の壁や柱ならば駆け上ります。ドブネズミは排水管の中を走り回ります。不用意に開けられた窓、目皿を外された排水口など建物に侵入できる隙を見逃してはくれません。昔の獣舎は土間の寝室が多かったのですが、なんと園路側の舗装の隙間からトンネルを掘り寝室内まで掘り進み侵入してくることもありました。

 積雪が進むと彼らは雪の中にトンネルを張り巡らせて移動します。隙あらば食べ物のある獣舎内に侵入を図ります。昨シーズンは数カ所で侵入されました。ニホンザルの寝室では暖房機の配線が何度かやられました。ニホンザルが寝室に出入りする扉(シュート)は夜間解放しているのでそこから侵入したと思われました。しかしネズミが生活している糞などの痕跡が見当たりません。なんとネズミはニホンザルの放飼場の根雪の中に居を構え夜な夜な寝室内に侵入していたのです。担当者が雪割り作業をしていたらまだ目も開いていないほど小さな子ネズミがたくさん見つかりました。そういえば昔マイナス20度に保たれた真っ暗な冷凍庫の中の大きな霜の中に巣穴を掘りクマネズミが繁殖していたことがありました。

 ドブネズミ、クマネズミは時に小動物も捕食します。動物園にとっては害獣です。でもその生命力には時に頭が下がります。来年はねずみ年。気候変動が騒がれていますが私たちも自らの生命力、適応力を高める年にしなければいけないかもしれませんね。

旭山動物園 園長 坂東 元