ゲンちゃん日記・平成30年10月「地震の翌日から開園しています。」

最終更新日 2018年10月21日

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ゲンちゃん日記・平成30年10月「地震の翌日から開園しています。」 

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(写真:ライオン「オリト」)

   
またも想定外のできごとで書き始めです。震災に起因して起きたブラックアウトです。電気がないことの恐ろしさ、物流・交通がこんなに早く破綻するとは脅威でした。僕たちはこんな薄氷の上で生活していたんだと気づかされました。こんなこともうないだろうで忘れていいことではないと痛感しました。最低でも三日間動物たちの飼育環境を最低限維持するためにすべきことを洗い出しています。
 旭山動物園は地震の影響は皆無でしたから停電の翌日朝6時過ぎに電源が回復したことを受け7日から営業を再開しました。6日も停電が回復したら2時間で開園できる体制だったのですが結局閉園しました。どのような状況でも十人でも百人でも旭山動物園を目指してきている人がいるのであれば開園を目指す、これは旭山動物園が観光施設としての一面を背負ってからずっと強く意識していることです。観光誘致、宣伝をするならばそれに伴う責任の果たし方もそれぞれの関わり方の中で真剣に考えておかなければいけないことなのだと思います。北海道には住所のない人(観光客)が入れ替わりながら大勢暮らしていること、何か起きた時に観光客がどのような心理状態になるのか?何が必要なのか?をイメージできることが大切なのだと思います。
 それにしても園内を歩いていると(9月18日)いつの間にか観光客がいる風景に慣れてしまっていたこと気づかされます。平日の午前中は遠足の子供たちの歓声、午後になると旅行者などがぱらぱらと…。不謹慎かもしれませんがあざらし館オープン前年に戻ったような不思議な懐かしさを覚えてしまいます。風に揺れる木の葉の音が妙にはっきりと心地よく聞こえています。秋晴れが続いています。
 電気に関しては綱渡り状態は続いていますから、旭山動物園はその日その時を大切にし淡々と動物たちの平穏な暮らしを守り、来園者にも平穏な時間を提供し続けていきます。 
  と言うことで動物の話はライオンでしたね。9月18日時点でまだ観られますよ、と言う状態にはなっていません。まだ姉妹と離すには早いけど、来年の夏以降になるとメス姉妹との近親交配の心配がでるため、寒くなっての輸送はできないことを考え旭山に来た「オリト」です。
  まだまだ自分で状況を判断できませんから、時間をかけて環境に慣らしている状態です。性格も過去に旭山で生まれ育ったライオンたちに照らしてみても、かなり臆病で慎重な方だと思います。 焦らず急がずですが、日中は屋外で夜は寝室、これは飼育下でのルールでもありますから、わがままだけを通させるわけには行きませんね。
  あっという間に冬が来ますね。冬を楽しめる北海道でありたいですね

 旭山動物園 園長 坂東 元