平成23年1月 「新たな思い」

最終更新日 2011年1月31日

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明けましておめでとうございます。
今年こそは市民全員に足を運んでいただきたいと願う私であります。 

昨年の暮れ、僕が死んでも現役であろう若者数名、
つまり未来の担い手を連れて、
シマフクロウの営巣巣箱の清掃のお手伝いに行ってきました。

シマフクロウと聞いて皆さんは何を連想されましたか?
川、巨木、うっそうとした森…
どこか神秘に包まれた深い山奥ではないでしょうか?
北海道に約120羽しかいない希少な鳥です。

環境省はかなり前からシマフクロウの保護増殖事業に取り組んでいますが、
情報がほとんど公開されることはなく、棲息地等の情報も事実上秘密扱いで、
一般の目からは隠そうとしながら事業が継続しています。

そんなこともありシマフクロウは
どこか現実とはかけ離れた存在になっています。
大切にしなければいけないと言いながら
彼等の暮らしを知ることができないのです。

シマフクロウは巨木の樹洞で繁殖します。
ウグイなどの川魚を中心にノウサギ、小鳥などの小動物を食べます。
海が近ければ海水魚も食べます。

彼らは長距離を移動せずに、
水系沿いに移動しながら番で縄張りを持ち暮らしています。
実はウグイなどの魚が豊富にいる河川は
ある程度の水量があり流れの緩やかな河川ですから
山奥の秘境ではありません。
私たちが自分たちの生活圏に取り込んでしまった河畔林が
シマフクロウの生活圏だったのです。

今回お手伝いさせてもらった場所もイメージとは大きく異なり、
数十メートル先に畑や牧場がある平野部の河畔林でした。
正直エッこんな所に…ショックでした。
そこには養魚場があり、その魚に大きく依存しながら
2ペアーのシマフクロウが暮らしていました。
ある程度大きな木はあるのですが、
シマフクロウが利用できる大きな樹洞のある木は
既に朽ち果て、人工の巣箱で命を繋いでいました。

その巣箱をつくり、
植樹をしシマフクロウを見守っている会の人たちと共に寝泊まりしました。
環境省が主体ではないので学者、有識者ではありません。
その水系の豊かさを享受している人たち、
つまり養魚場、牧場、漁業、林業等に関わっている人たちでした。

森と海を繋ぐ豊かな川が自分たちに恵みをもたらしてくれる。
だからこの川を大切にすること、
つまりシマフクロウが生活できる河畔林を
守り育てることが大切で尊いこと…
熱く語ってくれました。

巣箱の清掃作業も皆冗談を言いながらみな笑顔で、
はれ物に触るような慎重なものではありませんでした。
シマフクロウが現実の暮らしの中にいました。
シマフクロウとそこに暮らす人たちに垣根はありませんでした。
僕には新たな目標ができました。今年も頑張ります!                         

        

        シマフクロウ(ゲンちゃん画伯)