今年も気づけば夏も終わりです。
月日の経つのは相変わらず早いものです。
オオカミの子は順調に成長し、数日出張で見ないと、
大きく逞しくなっていて驚きます。
ヒグマの子の成長のゆっくりさと対照的です。
動物の子育て、成長を見守っていると、その動物のおかれている環境や、
さまざまな種類の動物たちとの関係が想像できます。
オオカミは強い肉食動物、そう感じている方が多いかも知れません。
無事に大人になりパックという群れを形成したオオカミは強いのですが、
群れを持てる個体はそう多くはありません。
多産な種はたくさん死ぬから多産なのです。
オオカミの暮らしは決して王様のような暮らしではないのですね。
オオカミの子の話に戻ります。
やんちゃにとっくみあいをしたり、追いかけっこをしたり、
食べ物の奪い合いをしたり、親に甘えたり、見ていて微笑ましく思います。
でも時にはいじめられているように見える時もあり、
仲間はずれにされているように見える時もあり、
お腹を見せて謝っている時もあります。
成長の過程の中で、さまざまなことを学び、
自分の能力を知り大人への階段を上っていきます。
肉体的に強い個体は他を思いやる心を身につけ、
弱い個体は和をとり、
支える気持ちを育てていきます。
強い個体が絶対ではなく、
さまざまな個性が調和を取りながら生きる術を身につけていきます。
子供の遊びは時に残酷に見える時もありますが、
大人の仲間入りをするための大事な勉強の時期でもあります。
動物たちの暮らしの中から、私たちヒトが忘れてしまったことや、
今一度考えて見直してみなければいけないことが
たくさんあるように思います。
最後に先月号の続きになるのですが、
震災以降めっきり姿を見なくなった外国の方が、戻り始めています。
なるほどガイドを始める数分前から
オランウータンにエサを与えながら開始を待ちますが、
アジア系の方々が最前列を埋めてしまう時があります。
ガイドが始まり日本語で話し始めると、
一斉にいなくなりぽかんと穴が空いた状態になってしまいます。
自分の語学力があればと痛切に感じてしまう瞬間です。
せめて紙芝居のように
数カ国語に対応できるようなことも考えなきゃと思いつつ
何もしないまま日が流れるように過ぎているこの頃です。