あさひばし 平成29年9月号「特集 子供の居場所」

情報発信元 広報広聴課

最終更新日 2017年9月15日

ページID 062381

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子供は未来を担う宝であり、地域全体で成長を見守ることが大切です。

核家族やひとり親家庭が増えたり、地域のつながりが希薄になったりする中、

子供が安心して過ごせる「居場所」づくりに取り組む人たちやその活動を紹介します。

子供食堂

一緒に食べる楽しさを!

神楽公民館の調理実習室。エプロンをした子供たちが楽しそうに料理をし、出来上がったカレーライスをおいしそうに食べています。

ここは、月に1回土曜日に開催している子供食堂の「楽っこ(らっこ)ルーム」。子供食堂は、食を通して、学校や家庭以外の子供の居場所を提供する取組みとして全国に広がっており、現在市内には7か所の子供食堂があります。

楽っこルームを運営しているのは、神楽まちづくり推進協議会や神楽児童センターなどで構成される実行委員会。民生委員児童委員などの活動を通して地域をよく知るメンバーが、地域に必要な支援は何かを考えて活動しています。会長の宮嶋睦子(みやじま むつこ)さんは「子育てを応援する地域づくりを目指して始めました」と子供食堂開催の動機を話します。

楽っこルームには、主に小学生の他、外に出る機会が少ない高齢者も参加できます。子供は調理に参加したら食事は無料、大人は1回300円の参加費が必要。宮嶋さんは「地域のみんなで一緒に料理を作って食べたことが心に残っていたら、大人になっても食を大事に思うことにつながるのでは」と食育に期待を寄せます。

宮嶋さんたちは「長く活動を続けて、色々な状況にある子供や高齢者が楽しく集まれる場として、地域に根付かせたい」と意欲的に取り組んでいます。

子供たちの笑顔のために!

住宅街にある個人宅のカーポートに、にぎやかな声が響きます。月に1回、伊藤博康(いとう ひろやす)さん・美子(よしこ)さんが自宅を開放して行っている、学習支援とご飯と遊びの場「おむすびころりん」の開催日。正午から午後4時30分までなら、幼児や小・中学生、保護者が自由に参加できます。毎回、約40人の子供や保護者が集まり、食事をしたり、学習したり、遊んだりします。食事の準備や学習支援を行うのは、伊藤さん夫妻やサポーターたち。参加は無料で、運営費は伊藤さんの自己負担や、参加者の寄附などで賄っています。

伊藤美子さんは、社会福祉士や精神保健福祉士としての経験から、育った環境が、人間形成に大きな影響を与えることを実感。「人は、自分がされてきたことを他人にするようになるものです。思いやりを受けて育ったら、思いやりのある人になると思います。子供たちに、信じられる大人がいるんだ、という体験をしてほしい」と話します。おむすびころりんには「ここに、あなたのために握ったおむすびがあるよ」との思いが込められています。夫の博康さんも美子さんの考えに共鳴し、一緒に取り組んでいます。

保護者から相談を受けることも多い美子さんは「保護者にとってもほっとできる場にしたい。私も、親だけでなく地域の人たちのおかげで育ってきました。だから今、子育てを応援するのは当たり前のことです」と笑顔で話します。

参加者に聞きました

おむすびころりんに母子で参加していた黒川美奈(くろかわ みな)さんと娘の瑶紀(たまき)さんに話を聞きました。

美奈さん「子育てで悩んでいたとき、伊藤さんに話を聞いてもらって安心できました。他の参加者からアドバイスをもらえるのも心強いです」

瑶紀さん「みんなと遊んだり、食べたりするのが楽しいよ」

企業が子供食堂に食品を提供

旭川食品加工協議会会長の金田道従(かねた みちつぐ)さんに話を聞きました。

「全国的に広まりつつある子供食堂に対し、食品を製造している立場で何かできることはないかと思っていたところ、市内での活動を知りました。旭川食品加工協議会に加盟する食品メーカーに呼び掛けて、食品を提供させてもらうことにしました。必要として活用してもらえるので、私たちもうれしいです。地域の食材などについても子供たちに知ってもらい、食育につながるような仕組みを考えていきたいです」

市内の子供食堂

参加には申込みが必要。開催日や時間が変更になる場合があるので、電話で確認を。

子供食堂に食材を提供したい方、子供食堂の運営に関心のある方は、旭川おとな食堂(多機能型事業所あーる内 電話0166-73-6692)に連絡を

こども食堂

とき 毎月1回 午後4時30分から7時30分

ところ 北星公民館(北門町8)

【詳細】北門児童センター 電話0166-52-0765

うれシぱこども食堂

とき 毎月1回 午後10時から2時

【ところ・詳細】旅とぴあ北海道(宮下通23 電話0166-32-3910)

おてらde食堂

とき 隔月1回 午前10時から午後1時30分

ところ 妙善寺(永山4の20)

【詳細】旭川大学短期大学部近藤ゼミ 電話0166-48-3121

おむすびころりん

とき 毎月1回 正午から午後4時30分

【ところ・詳細】伊藤宅(南3の25 電話080-1890-8536)

わいわい食堂

とき 隔月1回 午前9時から午後1時

ところ 東部住民センター(東光5の2)

【詳細】東光児童センター 電話0166-32-1473

楽っこルーム

とき 毎月1回 午前10時30分から午後1時

ところ 神楽公民館(神楽3の6)

【詳細】神楽児童センター 電話0166-63-6201

ハートフレンドカムカム

とき 毎月1回 正午から午後2時30分

ところ 神居公民館(神居2の9)ほか

【詳細】神居児童センター 電話0166-69-2225

学習支援

学ぶ習慣を身に付けて!

北星地区センターの1室で毎週土曜日に開催されている「ゆずりは」は、北海道教育大学旭川校の学生を中心とした学習支援の場です。

午後6時30分、小・中学生や高校生が、学習道具を持って集まってきます。3~4人が机を囲み、指導者が1人付きます。その日持参した教科書やドリルなどで自由に学習でき、分からないことがあれば指導者が丁寧に教えます。料金は参加費として、1人1回100円で、これを施設利用料に充てています。

ゆずりはは、「学ぼうとする者、皆学べる世の中へ」の思いで、子供たちに勉強する習慣を身に付けてもらおうと始まりました。子供たちにとっては年齢の近い大人である大学生と触れ合うことで、気軽に悩みを相談してもらえれば、という思いもあります。

北海道教育大学旭川校2年生の横山瞬也(よこやま しゅんや)さんは、1年生のときから、ゆずりはで学習支援をしています。「将来自分が進みたい道を選んでいけるように、勉強が苦手な子供たちにも『できない』と諦めないでほしいんです。数学が苦手だという子が多いのですが、できるだけ面白さが分かるように工夫して指導しています。通っているうちに、『難しい』が『面白いんだね』に変わるときが、うれしいです。教員を目指す自分にとっては自信にもなります」と、生き生きとした表情で話します。

市内の地域による学習支援

申込み不要。開催日や時間が変更になる場合があるので、電話で確認を。

ゆずりは

とき 毎週土曜日 午後6時30分から8時

対象 小学生から高校生まで

【ところ・詳細】北星地区センター(旭町2の8 電話0166-51-9800)

春光台・鷹の巣まちづくり推進協議会「子ども居場所」

とき・ところ 毎週火曜日=春光台公民館(春光台3の3) 午後3時30分から5時30分、毎週木曜日=春光台地区センター(春光台3の5) 午後3時30分から5時30分

対象 小学4年生から中学3年生まで

【詳細】春光台公民館 電話0166-53-5620

プレーパーク

やってみたい!に挑戦

「子供自身の自由な発想で遊べる場所をつくりたい」そんな思いが、全国各地で「プレーパーク」という活動として広がっています。

現在、市内には2つのプレーパークがありますが、その1つを運営する岡本千晴さんは「私の子供の頃と違い、今は、危険だから、周りに迷惑だからと子供の遊びが制限されることが多いと感じます。プレーパークはそうした制限をなくし、子供が自分の責任と発想で、やりたいことに挑戦できる場です」と話します。

これまで神楽岡公園や広場などでプレーパークを開催。ビール箱や木の板、塩ビ管などを置いておくと、土や水、植物なども使って、子供たちは思い思いに遊び出します。始めは遠慮して周りの様子を見ていた子も、だんだんと自分の遊び方を見つけていきます。

「泥だらけになったり、ずぶぬれになったりすることも子供が成長するための経験。少しぐらいのけがも遊びには付き物です。子供同士でトラブルになることもありますが、大人は介入せずに見守ります」と岡本さん。子供は遊びの中から様々な発見をし、人とのつながりを学んでいきます。

「今後はもっと地域を巻き込んで、子育てを地域全体で応援し、サポートしていければいいと思っています。親にも子にも、地域の人たちが温かく見守ってくれていると感じながら、成長していってほしいです」と、岡本さんは話します。

市内のプレーパーク

おやこ寺子屋のプレーパーク

岡本さんが運営

次回の開催は、おやこ寺子屋のフェイスブック(新しいウインドウが開きます)で確認を

【詳細】岡本さん 電話 090-7402-8066

だいがくでプレーパーク

旭川大学短期大学部の学生主催

とき 次回は10月15日(日曜日) 午前11時から午後4時

ところ 旭川大学(永山3の23)中庭

その他 持ち物等については、同大学の清水ゼミのホームページ(新しいウインドウが開きます)を参照

【詳細】旭川大学短期大学部清水ゼミ 電話0166-48-3121

広がる、市民による居場所づくり

旭川で最初に居場所としての子供食堂が始まったのは、平成27年。以来、次々と市民による子供の居場所づくりが広がっています。当初から居場所づくりに関わっている、旭川大学短期大学部准教授の清水冬樹(しみず ふゆき)さんに話を聞きました。

子供の居場所とは?

自分を受け入れてくれる人がいて、安心して自分らしくいられる場です。ここでは、家庭や学校の先生以外の大人と、関係を築いていくことができます。信頼できる大人や仲間との関わりを通じて、子供は自己肯定感を育み、将来の希望をつかんでいきます。出会った大人が、生きる上での憧れや目標になったり、家でも学校でも話せないことを話せる相手になったりすることもあります。

居場所における大人の役割は?

子供のためにと、大人はつい先回りしてアドバイスしたくなりますが、子供を受け止め、話を聞き、待つことが大事です。子供は失敗から学び、困っていることを自分自身で解決していく力を持っています。その力を信じるのが、大人の役割です。

子供の居場所は、大人の居場所にもなります。私自身、活動をスタートしたときは子供のためと思っていましたが、始めてみると、自分も子供に支えられていると感じます。

これから求められることは?

核家族やひとり親家庭、共働き家庭が増え、地域とのつながりが希薄になる中では、ますます子供の居場所が必要です。子供たちが集まるということは、居場所が必要とされていることだと思います。今後は、子供が自分で通えるような地域の居場所が、市内各地に生まれると良いと思います。支援者の連携や勉強も必要です。関心のある人は、今ある居場所に足を運んで、見学してみてください。

私たちも応援しています!

子供の居場所づくりのサポーターの皆さんにコメントをもらいました。

  • 子供食堂に差し入れに来た西嶋 徹(にしじま とおる)さん
    「子供たちのために、まちのために、自分ができることを続けていきたいと思っています。地域全体で子供を見守るまちにしたいです!」
  • 斉藤幸波(さいとう こうは)さん
    「遊びのお手伝いをしています。人との関わりが苦手な子が、何度も来るうちに他の子と遊べるようになった姿を見て、うれしかった! 」
  • 佐藤節子(さとう せつこ)さん、中村摩維子(なかむら まいこ)さん
    「食事を作ったり、参加した人の話を聞いたりしています。保護者にとっても、子供食堂のような場が必要です!」

フォーラム「広がれ、こどの食堂の輪!全国ツアーin(イン)旭川・道北

全国や旭川の子供の居場所の現状、市民社会ができる子供支援などについて紹介します。

詳細は同フォーラムのページをご覧ください。

とき 10月8日(日曜日) 午前10時から午後3時30分

ところ 大雪クリスタルホール(神楽3の7)

講師 社会活動家 湯浅 誠(ゆあさ まこと)さん ほか

【申込】10月2日(月曜日)までに子育て支援課 電話0166-25-9128


市内には、今回紹介した他にも、地域の子供と大人が集う居場所がたくさん生まれています。

市では今年度から、子供食堂や、地域まちづくり推進協議会が行う学習支援への補助をスタートし、地域で子供を見守り育てる輪が広がるよう応援しています。また、7月に実施した子供の生活実態調査の結果を踏まえ、子供が安心し、希望を持って生活を送ることができるよう、必要な支援の充実や改善につなげていきます。

【詳細】子育て支援課 電話0166-25-9128

お問い合わせ先

旭川市総合政策部広報広聴課広報係

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電話番号: 0166-25-5370
ファクス番号: 0166-24-7833
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