あさひばし 平成29年8月号「動物園からの手紙」
死亡したポニーのミクロをしのぶ
今は7月下旬ですが、ニイニイゼミに続きエゾゼミの声も聞こえ始め、キアゲハの夏型も飛び始めました。本格的な夏の到来を告げています。
7月は、カピバラの来園やレッサーパンダの誕生とうれしいこともありましたが、ポニーのミクロの死という悲しい出来事もありました。
ミクロは平成8年、来園者数がどん底の年に来園しました。同6年のエキノコックス発生で途中閉園をし、再スタートの同7年に手作りでふれあい牧場をオープンさせました。近郊の農家さんからカイウサギを、円山動物園からヤギを譲り受けるなどしました。そして同8年に乗馬ができるポニーとしてミクロが来園。当時、旭山動物園は危ない場所という風評被害の中にいて、せめて子供たちに動物たちを身近に感じてもらおうとオープンさせた、ふれあい牧場の主役になりました。毎日20人ほどが、乗馬やブラッシングを体験しました。ところがそんなに無理をさせたわけではないのですが、腰が弱くて乗馬をさせるとよろける(腰抜け)ようになりました。引き馬中に雑草を食べ始めたり、突然歩かなくなったりとわがままになって(させて)いきました。馬はヒトを観察しており、しつけと愛情のバランスがとても難しい動物です。乗馬ではミクロの負担を軽くするために小学生以下限定としましたが、体格の良い子もいて、でもそれを理由に断るのは理屈に合わないので乗馬はやめることにしました。同9年に今のこども牧場が完成。ミクロも引っ越しし、無理をさせずに、のんびりと過ごさせることになりました。
ミクロはいつの間にか年を取り白髪が目立つようになりました。手のかかることも多々ありましたが、まだまだ元気でいるものと思い込んでいました。享年28歳でした。
動物たちの思い出を積み重ねてきた歴史でもある50年、改めて飼育とは何かを考えさせられました。