あさひばし 平成28年11月号「特集 手話でつながる」

情報発信元 広報広聴課

最終更新日 2016年11月15日

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特集 手話でつながる

手話イメージ
市では、7月に「手話言語に関する基本条例」を施行しました。手話を学ぶ人や、手話を使ってコミュニケーションを取る人たちを紹介しながら、手で話し、目で聴く(見る)言葉である手話について考えます。
12月の「障害者週間」記念事業(本誌24ページに掲載)に向けて、練習に励む手話歌サークル「ド・レペ」の皆さん。写真の手話は「約束」の意味
12月の「障害者週間」記念事業に向けて、練習に励む手話歌サークル「ド・レペ」の皆さん。写真の手話は「約束」の意味

手話を通して、新たな世界と出会う

手話は1つの言語です

手話は、手指や体の動き、表情を使って表現する「見る言葉」です。市では「手話言語に関する基本条例」を制定し、手話への理解や普及を進め、聴覚障害のある人が安心して暮らすことができる地域社会の実現を目指しています。
聴覚障害のある人のコミュニケーション方法としては、手話の他に、筆談や口の動きから読み取る読話、50音を1文字ずつ指の形で表現する指文字、空間に文字を書く空書き(そらがき)などがあります。今回は新たな言語世界の扉を開く、手話について考えます。

手話歌(しゅわうた)から手話に関心を持って

手話歌サークル「ド・レペ」代表の平船乃安さん
手話歌サークル「ド・レペ」
代表の平船乃安さん

ピアノ伴奏に合わせて手話歌の練習をするのは、旭川大学短期大学部のサークル「ド・レペ」の皆さん。手話歌とは、歌いながら歌詞を手話で表現するもので、ド・レペは、市内の催しや施設などで手話歌を通し、色々な人と交流することを目的に活動しています。手話が初めての学生も多く、先輩である2年生が、歌詞に相当する手話を教えることから始めます。
「指をはっきりと動かす」、「目線が大事」などと指導を受けながら、皆、笑顔で練習しています。

代表を務める幼児教育学科2年生の平船乃安さんは「手話を学んだことで、障害のある人の立場になって考えられるようになり、色々な物事の見方や考え方が変わりました。将来、幼児教育の場でも生かせるように、もっと深く手話を学んでいきたいです」と話します。手話歌は、聞こえない人も聞こえる人も一体となって楽しむことができ、「観客から『良かったよ』と言ってもらえるのがうれしいです。手話歌がきっかけになって、簡単な挨拶や自分の名前を手話で表現できる人が増えれば、聴覚障害のある人も喜んでくれると思います」と話す平船さんです。

交流しながら、互いに学び合う

手話サークル「たんぽぽ」会長の山口晶子さん
手話サークル「たんぽぽ」
会長の山口晶子さん

「手話はサークルのみんなが分かる言葉です。今日も必ず手話で話しましょう」。これをスローガンに掲げているのは、手話サークル「たんぽぽ」。ろう者との交流を通して互いに学び合う姿勢を大切に活動しています。会員は52人で、そのうち、ろう者は9人。経験豊富な人から初心者まで、手話のレベルは様々ですが、サークルでは、聞こえる人も聞こえない人も全員手話で話します。
5・6人のグループで行う自由トークでは、おしゃべりに花が咲き、手指、口、表情が活発に動きます。会長の山口晶子さんは「手話は豊かな表現を持つ言語で、表情や目線、身ぶりなどがとても大切です。条例制定をきっかけに、手話に関心を持つ人が増えてほしいです。きっと新しい世界に出会えるはずです」と、手話の魅力を話します。
手話サークル「たんぽぽ」で活動する皆さん

手話サークル「たんぽぽ」で活動する皆さん


市内には8つの手話サークルがあります。興味のある方は、旭川ろうあ協会(電話45-0757、ファックス45-0760)へ。

「聞こえにくさ」を乗り越えて夢を追う

「経験を力として伝えたい」 教師を目指し、聾学校から高校、そして大学へ

髙橋美優さんは、北海道教育大学旭川校の1年生。教育発達専攻の特別支援教育分野で、特別な支援を必要とする子供のための教育を学んでいます。
髙橋さんは生後4か月くらいのときに、音への反応がないことにお母さんが気付き、やがて感音性難聴と診断されて1歳半から補聴器を装着。幼稚部から中学部まで聾学校に通っていました。「聾学校で手話を覚えました。一緒に登校していた先輩が、特に熱心に教えてくれたんです。手話の語源は深くて、知れば知るほど面白いと思いましたし、会話ができると、気持ちがつながるのでうれしかったです」と振り返ります。
中学部卒業後は旭川藤女子高校に進学。「聾学校では同学年に女子は私1人でした。女友達とガールズトークをしたいから女子校を選びました」と笑います。教師になりたいと思っていた髙橋さんは、大学入学を目指して猛勉強。面接では「自分の経験を生かして、障害がある子供たちの教育に携わりたい」と熱く語りました。いずれは、聾学校の教師になりたいと考えている髙橋さん。講義では前の席に座り熱心に学ぶ一方、アルバイトをしたり、大学祭のためのダンスの練習をしたりして、充実した大学生活を送ってます。
髙橋美優さん
教員を目指す髙橋美優さん
好きな手話は「ありがとう」。お互いに温かい気持ちになり、相撲からきている由来も印象的だからです。

「2つの世界をつないでいきたい」 民間企業で働きながらろうあ協会の活動に取り組む

小森美郷さんは、保険会社で事務職として働いています。補聴器を着けることで会話を聞き取ることができ、聾学校に通ったのは幼稚部だけです。
これまで手話を使うことがなかった小森さんですが、2年前から手話を学び始めました。きっかけは、聾学校時代の友人との再会。「友人の魅力的な手話を目の当たりにしたことが、聴覚障害のある自分が持つべき世界に、気付くきっかけになりました。この再会がなければ、私は今も口話だけでコミュニケーションを取っていたと思います」と話します。旅行が趣味で、ろうあ協会の活動などでも全国を旅することが多い小森さん。「地域によって手話にも方言があり面白いです」と笑顔で話します。
「小学生の頃は『障害のある自分が嫌だ』と悲観的でしたが、今では自分の心を真っすぐに表現できる『手話』という言語にたどり着き、聴覚障害のある自分にしかできないこともあると思えるようになりました。ろうの世界も聞こえる世界も体験している人間として、互いに理解し合えるように2つの世界をつないでいきたいです」と小森さん。聴覚障害や手話への理解を深めてもらいたいと、ろうあ協会の活動にも積極的に取り組んでいます。
小森美郷さん
保険会社に勤務する小森美郷さん
好きな手話は「大丈夫」。「できる」という手話表現にもなり、気持ちを前向きにさせてくれるからです。

手話で挨拶してみよう

手話は「見る言葉」です。手指の動きだけでなく、目線や表情、体の向きなども大切な表現です。簡単な挨拶ができるだけでも、聞こえない人とコミュニケーションが取りやすくなります。
手話の画像

市の手話講座等

初級市民手話を学ぶ会

年間25回
昼の部と夜の部あり

中級手話講座

年間27回
昼の部と夜の部あり

手話通訳者養成講座

1年目37回・2年目41回の計78回
昼の部と夜の部を隔年で実施
※いずれも来年4月に募集予定。

手話出前講座(無料)

内容 学校や団体等を対象に手話の講師を派遣し、簡単な手話教室や聴覚障害についての講話などを実施。随時受付
時間 午前9時~午後9時(1講座45分、または90分)
対象 幼稚園、保育園、小・中学校、高校、大学、医療機関、福祉施設、企業、行政機関、町内会等の地域活動団体ほか
【詳細】 障害福祉課(電話25-6476 、ファックス24-7007)

みんなが安心して暮らせるまちに

共に生きる社会を

専任手話通訳者の山上順子さん
専任手話通訳者の山上順子さん

市では、聴覚障害のある人が窓口などでのやり取りがスムーズにできるよう努めています。昭和38年に国内で初めて、ろうあ者相談員を配置。さらに同48年に道内で初めて手話通訳協力員制度をスタートしました。現在は、障害福祉課に専任手話通訳者4人、ろうあ者相談員1人が在籍し、各種相談に対応するなどしています。
聴覚障害のある阿部沙織さんは、市のろうあ者相談員です。聴覚障害のある高齢者から、介護施設に入りたいという相談があれば、手話ができるケアマネジャーにつないで介護高齢課に一緒に行き、就職の相談があれば、ハローワークにつなげます。「市内には、聴覚障害者専用の介護施設などの社会基盤が少ないと感じます。また、仕事の面では、聞こえないというだけで採用は難しいと言う所もありますが、聞こえなくてもできることはあります。社会に生きる1人の人間として当たり前に対応してほしいです」と阿部さん。「条例をきっかけに、聴覚障害のある人を理解する人が増え、一緒に考え、一緒にやっていける社会になるといいですね」と話します。

ろうあ者相談員の阿部沙織さん
ろうあ者相談員の阿部沙織さん

マイタウンあさひかわ(手話通訳付き)

マイタウン旭川スクリーンショット
市の広報番組(10月23日放送分)でも手話を特集しました。過去の放送はこちらから視聴できます。


市では、条例に基づき、手話の普及や手話通訳者養成のための取組みとして、手話講座の開催や手話出前講座を実施しています。また、聴覚障害のある子の保護者への支援や、災害時の情報伝達の仕組みを整備するなどして、聴覚障害のある人が安心して暮らせるまちづくりを目指しています。
皆さんも、聴覚障害のある人たちの生活や気持ち、必要としている支援などについて理解を深めるとともに、挨拶などの簡単な手話から覚えてみませんか。
【詳細】 障害福祉課(電話25-6476、ファックス24-7007)

お問い合わせ先

旭川市総合政策部広報広聴課広報係

〒070-8525 旭川市7条通9丁目 総合庁舎6階
電話番号: 0166-25-5370
ファクス番号: 0166-24-7833
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午前8時45分から午後5時15分まで(土曜日・日曜日・祝日及び12月30日から1月4日までを除く)